本記事では、2023年4月8日に行われたスーパーバンタム級6回戦の那須川天心VS与那覇勇気の試合をレビューしていきます。
この試合は那須川天心選手のデビュー戦になります。
与那覇勇気選手のプロフィール
沖縄県出身
生年月日 1990年12月31日
プロ戦績 17戦12勝(8KO)4敗1分
※那須川戦前の成績
バンダム級日本ランキング4位
那須川天心選手のプロフィール
千葉県出身
生年月日 1998年8月18日
キックボクシング戦績 42戦全勝(28KO)
本試合がボクシングのプロデビュー戦であり、アマチュアの経験すらもありません。今回がアマ含めて初のボクシング戦になります。
キックボクシング界には敵がいないと言われるほど圧倒的な強さでパーフェクトレコードを残したキック界伝説のファイターです。
キックボクシング時代に超人気選手となったため、今回のボクシング挑戦に関しても、世間からかなり多くの注目を集めています。
試合レビュー
天心選手のスピード・テクニックが勝るのか、与那覇選手のパワーが勝るのか、非常に注目された試合でした。
序盤
与那覇選手から前進し、プレッシャーをかける展開から試合が始まりました。
与那覇選手のプレスに対し、天心選手は冷静にバックステップで距離を保ち、与那覇選手の動きのスキに合わせて、ノーステップで、ワンツーやボディを打ちます。
1R目で既に力の差がハッキリとしていました。
天心選手のヒット数が圧倒的です。また、上下への打ち分け、ボディの強打、スピードのあるポジション取り、クリンチワーク、1R目だけでこれだけテクニックを披露できるのはデビュー戦では、ありえないです。
天心選手は、やはり天才格闘家だと感じました。
2R目、更に天心選手はギアをあげます。
与那覇選手の右ストレートに対し、強烈なカウンターを打ちます。
その後も、与那覇選手の動きを冷静に見ながら攻撃をしかけます。
スリップ気味でしたが、2R目の残り2分40秒、与那覇選手のオーバーハンドの左に合わせて、天心選手の右のカウンタージャブがヒットしダウンを奪いました。
その後も、天心選手の格闘センスは光り続けます。
タイミングをずらした右ジャブ、カウンター攻撃からの3連撃のコンビネーション、左ストレートフェイントからの右ジャブと、とにかくテクニックが高すぎます。
また、ボクシングではあまり見られないパフォーマンス的な大ぶりの攻撃もしかけ、観客をも魅了しています。
フック系の攻撃を打たないものの、攻撃の引き出しの数が異常です。
中盤
3R目、4R目も、天心選手優勢のまま試合が続きました。当て感が良く、常に攻撃のヒット数が非常に多いです。
与那覇選手も前進を続け、プレッシャーを与えるのですが、恐れることなく天心選手は全ての攻撃に完璧に対応します。
4R目の残り30秒、ロープ際へ与那覇選手を追い詰め、天心選手が攻撃のラッシュを仕掛けます。これで決着かと思われましたが、与那覇選手がなんとかしのぎました。
終盤
続く5R目、もう試合の決着は決まったように思われましたが、私はこのラウンドから天心選手の動きの変化が少し気になりました。
既に与那覇選手の攻撃を見切れており、余裕のある天心選手ですが、明らかに手数が減り、ロープ際でディフェンスをし続けていました。離れて手を下げ、休んでいるようなシーンも見られました。
最終6R、天心選手は与那覇選手へカウンター攻撃を狙う形で試合を展開します。
与那覇選手のオーバーハンドに対し、コンパクトなカウンターを当て、試合を常に優勢に進めていきます。
試合残り30秒、天心選手は、攻撃の手数を増やし攻撃を打ち続け、試合終了となりました。
試合結果
試合は判定決着となり、59対55、60対53、60対53の3-0で、那須川天心選手の大差の判定勝利となりました。2人の審判がフルマークで天心選手に付けるという圧勝で幕を閉じました。
感想
日本バンタム級2位の素晴らしいボクサーを圧倒してしまう那須川天心選手の見事なデビュー戦となりました。
この試合により、天心選手の強さが証明されました。世間にも認められたのではないでしょうか。
しかし、ボクシングという競技がキックボクシングやMMAにはない要素の1つとして、ラウンドの長さがあります。
天心選手は、ほんの僅かではありますが、5R目以降少しペースダウンしたように感じました。スタミナ面は、まだボクシングに適応していないのでしょうか。
また、パウンドフォーパウンドに載るような選手のほとんどが持っている要素として、KOできるテクニックがあります。これだけヒット数を稼ぎ、圧倒していましたが、取れたダウンは1度のみです。
今後の課題としては、この2点があるのかなと感じました。(これは、あくまでボクシングファンの私の見解です。)
しかし、彼は、神童です。経験を重ねていけば誰も文句を言えない強いボクサーになってくれると思います。
ぜひ皆さん、キックボクシング時代から築き上げる那須川天心選手の活躍に今後とも注目してみてください。
私も今後とも、天心選手を応援していきたいと思います。
本記事は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。