2025年、ボクシング界はますます熱を帯びている。なかでも注目を集めているのが”モンスター”井上尚弥の次なる挑戦者だ。4団体統一王者としてスーパーバンタム級を席巻する井上尚弥に、真っ向から挑む最有力候補がいる。それがウズベキスタンの“ハイテク・パワーボクサー”、ムロジョン・アフマダリエフである。
今回の記事では、アフマダリエフの生い立ちからプロキャリア、ファイトスタイルまでを徹底解説する。井上尚弥とのスーパーバンタム級頂上決戦が実現すれば、世界中が熱狂すること間違いなしだ。ぜひ最後まで読み進めてほしい。
プロフィール
Murodjon Akhmadaliev becomes sole WBA super bantamweight champion
— WBA Boxing (@WBABoxing) December 2, 2021
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名前 | ムロジョン・アフマダリエフ |
生年月日 | 1994年11月2日 |
デビュー | 2018年3月10日 |
出身地 | チュスト(ウズベキスタン) |
身長 | 166cm |
リーチ | 173cm |
タイプ | 左ファイター |
階級 | スーパーバンタム級 (55.34キロ) |
実績 | 主要2団体統一(スーパーバンタム級) |
アフマダリエフは、幼少期から苦労を重ねて育った。貧しい家庭環境の中で9歳から働き始めた苦労人であり、ボクシング道具すら数週間節約して購入していた。そんな努力家が辿り着いたのが、世界の頂点である。
現在は、スーパーバンタム級の上位ランカーであり、あの世界最速の3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコにプロデビュー前から注目されていた選手でもある。
身長はスーパーバンタム級の中では小柄なのだが、体が厚く強固な身体を持つファイターだ。いずれは、井上尚弥とも対戦するのではないかと思われる超有名ボクサー。直近の試合でマーロンタパレスに敗れ、現在は無冠となっている。
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戦績
アマ戦績 320戦300勝20敗
プロ戦績 14戦13勝(10KO)1敗
世界戦戦績 6戦5勝(3KO)1敗
※2024年12月14日時点
プロデビューからわずか8戦目で世界王座統一を達成した快挙は、まさに”怪物”級。ロマチェンコに才能を認められたアマチュア時代から、その資質は飛び抜けていた。
最近まで負けなしの最強ボクサーと言われていたが、先日行われたマーロンタパレス戦で僅差の判定負けとなり初黒星を喫した。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2018年3月10日 | 〇 | 1R 1:02 | TKO | ダビッド・パズ | アルゼンチン | プロデビュー戦 |
2 | 2018年4月21日 | 〇 | 4R 1:09 | TKO | カルロス・スアレス | アルゼンチン | |
3 | 2018年7月14日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | ルイス・モリーナ | アルゼンチン | |
4 | 2018年8月23日 | 〇 | 1R 1:20 | KO | ラモン・コントレラス | チリ | WBAインターコンチネンタルスーパーバンタム級王座決定戦 |
5 | 2018年11月24日 | 〇 | 9R 1:17 | TKO | イサック・ザラテ | アメリカ合衆国 | WBAインターコンチネンタル防衛1 |
6 | 2019年4月26日 | 〇 | 3R 2:51 | KO | カルロス・カールソン | メキシコ | |
7 | 2019年9月13日 | 〇 | 4R 1:56 | TKO | ウィルナー・ソト | コロンビア | |
8 | 2020年1月30日 | 〇 | 12R | 判定2-1 | ダニエル・ローマン | アメリカ合衆国 | WBA・IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ |
9 | 2021年4月3日 | 〇 | 5R 1:30 | TKO | 岩佐亮佑(セレス) | 日本 | WBA・IBF世界スーパーバンタム級王座統一戦 WBA防衛1・IBF防衛1 |
10 | 2021年11月19日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ホセ・ベラスケス | アメリカ合衆国 | WBA防衛2・IBF防衛2 |
11 | 2022年6月25日 | 〇 | 12R 2:06 | TKO | ロニー・リオス | アメリカ合衆国 | WBA防衛3・IBF防衛3 |
12 | 2023年4月8日 | × | 12R | 判定1-2 | マーロン・タパレス | フィリピン | WBA・IBF王座陥落 |
13 | 2023年12月16日 | 〇 | 8R 2:49 | TKO | ケビン・ゴンザレス | メキシコ | WBA世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦 |
14 | 2024年12月14日 | 〇 | 3R 2:59 | TKO | リカルド・エスピノサ | メキシコ | WBA世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦 |
ファイトスタイル

アフマダリエフは、サウスポースタイルのファイタータイプだ。ウズベキスタンのボクサーの特徴として多い腕力タイプのボクサーである。
ボクシングスタイルは”ハイテクとパワーの融合”である。サウスポースタンスから繰り出される重いジャブと、マイケル・ジャクソンばりのリズムあるフットワーク。そして相手に応じてアウトボクシングもインファイトもこなす柔軟性を兼ね備えている。
スーパーバンタム級としては小柄な部類に入るが、ライト級レベルの破壊力を持つパンチで勝利を重ねている。高いKO率がそれを物語っている。
フットワーク・パワー・テクニックを中心に非常にバランスが良く、この3つの組み合わせによって多彩な戦い方を可能とする選手だ。
オフェンス
アフマダリエフは、ウズベキスタン人特有のそのパワーに加え、巧さと良い意味で荒っぽさの両方を持つファイターでもある。
左ジャブ、左ボディジャブ、左ストレートを休みなく打ち相手へ圧力をかけ続け、相手によってはアウトボクシングを展開することもあり、戦い方のレパートリーが多くボクシングIQが非常に高い選手だといえる。
パンチの威力に関しても超一流。武器の一つとしては、重いジャブがある。彼と対戦した相手は、「バランスが崩れるほど重いジャブだった」というコメントを残している選手もいるほどだ。
また、相手を追い込んだ時に変則的な角度からオーバーハンドの威力のあるパンチを打つこともあり、こちらも非常に特徴的な彼らしい攻撃である。フックとストレートの間のようなスイングのパンチを打つのだが、これが当たれば一発KOもあり得るほどパワーに特化している。
ディフェンス
攻撃的なスタイルながら、ディフェンス面も高評価である。サウスポーならではの構えから、横に抜けるステップワークでパンチを外し、反撃に転じるのが得意。
また、ガードの位置が高く、無駄な動きが少ないため被弾が少ない。相手のパンチを引き出し、そこにカウンターを合わせる精度も非常に高い。
ただし、マーロン・タパレス戦のように慎重すぎて出足を奪われるリスクもある。今後の井上尚弥戦では、序盤の入りが重要なカギとなるだろう。
フットワーク
ムロジョン・アフマダリエフのフットワークは、スピードとリズム感に優れた戦術的な武器である。前後左右に滑るような動きで相手の攻撃をかわしつつ、自らの攻撃に最適な位置を常にキープする。とくに角度をつけて回り込むステップは、サウスポーとしての強みを最大限に活かしたものだ。
守備面でも非常に優れており、小さなステップで距離を取りながら反撃の体勢にすぐ入れる構えを保っている。体幹が強く重心がブレないため、どんな動きの中でもパンチを打てる安定感がある。
全体として、彼のフットワークはただの移動ではなく、攻守一体の戦術的ムーブメントとなっている。
井上尚弥戦の注目ポイント
ムロジョン・アフマダリエフと井上尚弥の対戦は、スーパーバンタム級の頂点を決める一戦として世界中の注目を集めている。両者ともに元または現世界王者であり、その実力は折り紙付きだ。スピード、パワー、戦術のすべてが高水準でぶつかり合うこの試合は、ただの防衛戦や挑戦者決定戦ではなく、事実上の世界最強決定戦ともいえる。
スピードとリズムの対決
アフマダリエフはステップを多用するリズミカルなフットワークを武器に、スピードのある連打で試合を組み立てる。対する井上尚弥は、タイミングを見極めたカウンターと、無駄のない動きで相手を制圧する。両者の動きの読み合いが、試合の前半から大きな鍵を握る。
スタイルのぶつかり合い
井上尚弥は被弾を極力避け、打たせず打つスタイルで多くの強敵を倒してきた。一方アフマダリエフは、ある程度被弾を許容しながらも強引に攻め込み、相手のペースを崩すタイプである。このスタイルの違いが、試合の流れを大きく左右することになる。
試合中の修正力にも注目
両者はともに高いアジャスト能力を持っており、相手のクセやリズムを読みながら、試合中に戦術を変えることができる。序盤で流れを失っても、中盤以降で巻き返す展開が予想されるため、最後まで気が抜けない。
パワーの対比
アフマダリエフは下半身の強さを生かした重いパンチを持っており、プレッシャーをかけながら攻め込むスタイルで知られている。一方、井上尚弥は正確なタイミングで当てる一発の威力が強く、少ないチャンスで試合を決めることができる。どちらのパワーが勝るかも見どころだ。
世界統一戦への布石
この試合の勝者は、今後のスーパーバンタム級の統一戦線を占う存在となる。もし井上尚弥が勝てば、すでに統一王者としての地位をさらに確かなものにすることになる。アフマダリエフが勝てば、世界を揺るがす番狂わせとなる。
まとめ
アフマダリエフと井上尚弥、どちらも世界最高レベルのスキルとメンタルを持つファイターだ。試合の展開次第では一瞬で勝敗が決まる可能性もある。技術とパワー、そして戦術の応酬がどう展開するのか。ボクシングファンにとって、見逃せない試合となることは間違いない。
スーパーバンタム級主要選手
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