那須川天心 vs ビクトル・サンティリャン 試合結果【牙を研ぐ男】Prime Video Boxing 13

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バンタム級戦線が静かに、しかし確実に熱を帯びている。キックボクシング界を席巻し、ボクシングに転向してからもその注目度を保ち続ける男――那須川天心。彼の進化は止まらない。今回は、ドミニカ共和国から乗り込んできた世界ランカー、ビクトル・サンティリャンとの一戦が行われた。多くのファンが熱視線を注いだ一夜。この試合には、単なる勝敗以上の意味が込められていた。那須川の“世界挑戦への最終試験”とも言える大一番だ。

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両者データ比較

那須川天心VSビクトル・サンティリャン
1998年8月18日生年月日1995年7月22日
2023年4月8日デビュー2018年4月7日
千葉県松戸市出身地ドミニカ共和国
165cm身長167cm
165cmリーチ?cm
左ボクサーファイタータイプ左ボクサーファイター
バンタム級 (53.52キロ)
スーパーバンタム級 (55.34キロ)
階級バンタム級 (53.52キロ)
6戦6勝(2KO)無敗プロ戦績15戦14勝(5KO)1敗

試合日程・概要

この注目の一戦は2025年6月8日、東京・有明コロシアムで行われた。試合はノンタイトル戦ではあったが、実質的には世界挑戦前の“前哨戦”という位置づけである。WBA世界バンタム級1位の那須川天心にとって、ランキング6位のサンティリャンとの一戦は、ボクシングキャリアの分岐点となる戦いだった。これまで6戦全勝(1KO)と無敗の戦績を誇る那須川に対し、実力者サンティリャンはキャリア14勝1敗の男。実力者同士の激突は、プロボクシングの現実と夢の狭間で火花を散らす戦いとなった。

両者のプロフィール

那須川天心は1998年8月18日生まれ、千葉県松戸市出身。身長165cmのサウスポーで、5歳で空手を始め、ジュニア時代からその実力は突出していた。キックボクシングでは最年少でRISEバンタム級王者、さらに初代RISE世界フェザー級王者、そして2022年にはK-1の三階級王者・武尊を撃破。ボクシング転向は2023年4月。そこからわずか1年あまりで世界ランキング1位にまで上り詰めた。

対するビクトル・サンティリャンは1995年生まれ、ドミニカ共和国出身の実力者で、WBA世界6位。これまで15戦14勝1敗を誇るが、その多くがラテンアメリカ圏内での試合であり、今回が初の本格的なビッグマッチとも言える。身長やリーチにおいて那須川を上回るサンティリャンは、経験とパワーで日本のホープを迎え撃つ構えだった。

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ファイトスタイル

那須川天心は、サウスポーのボクサーファイターとして高いアウトボクシング能力を誇る。特にスピードと精度を兼ね備えたジャブ、角度のある左ストレート、そして絶妙な距離感で試合をコントロールする巧さが光る。キック時代に培った反射神経とフットワークが、ボクシングでも武器となっており、打ち終わりを狙うカウンターや変則的な動きも巧みに織り交ぜる。冷静な判断力と試合運びはすでにベテランの風格すら漂わせている。

一方、ビクトル・サンティリャンは堅実さを持ち味とするバランスタイプのボクサー。オーソドックスな構えから前に出てプレッシャーをかけるスタイルで、スピード・パワー・テクニックすべてが高水準でまとまっている。派手さはないが、手堅くポイントを積み重ねるスタイルに長け、試合を自分のリズムで進める能力が高い。大胆な攻めよりも安定感を重視するタイプで、接近戦やクリンチでも手を止めない粘り強さが特徴だ。

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那須川天心の戦績と強さ分析

ビクトル・サンティリャンの戦績と強さ分析

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見どころ

この一戦の見どころは、那須川が初めて対峙する“同じサウスポー”との対決という点にある。さらに、世界6位というランキングを持つ相手にどう立ち向かうか。パンチの被弾を減らしつつ、有効打を稼ぎ、試合をコントロールできるかが焦点だった。また、那須川の“倒す”意識が強く出る中で、無理な攻撃に出るリスクもはらんでいた。

試合結果

試合は3-0の判定で那須川天心の勝利。ジャッジのスコアは100-90が1人、99-91が2人という、ほぼ完封とも言える内容であった。全体を通して那須川が主導権を握り続け、サンティリャンに有効打をほとんど許さなかった。試合終了後、那須川は「もっと倒したかった」と語ったが、冷静な試合運びと技術の高さが際立つ内容だったことは間違いない。

ターニングポイント

試合の分岐点は明白だった

試合の決め手となったターニングポイントは、那須川天心とビクトル・サンティリャンの間に横たわる、ボクシング技術の圧倒的な差だ。特にディフェンス力は如実だった。サンティリャンの攻撃がほとんど当たらない中、天心は着実に有効打を積み重ねていった。ステップワーク、角度、距離感すべてが上回っており、リング上の主導権は常に天心にあった。その明確な差が、ワンサイドゲームとして現れたのは当然の結果だったと言える。実際、採点では1人のジャッジが100-90のフルマークをつける圧勝。数字がすべてを物語っている。

不完全燃焼?

だが、ここで驚くべきは、試合後の那須川陣営の反応だ。圧倒的な勝利にもかかわらず、那須川もトレーナー陣も口を揃えて「練習通りにできなかった」と語った。那須川本人も「やれることはもっとあった」と悔しさをにじませた。つまり、これほどまでに相手を封じ込めておきながら、本人たちはまだ「不完全」だったと自己評価しているのだ

この事実が何を意味するか――那須川天心という男が、今なお成長を続けており、真の実力はまだこの先にあるという恐るべき可能性だ。目の前の敵をねじ伏せるのではなく、その先にある「理想の自分」に挑戦している。この姿勢こそが、世界王者たちが目を光らせる理由であり、那須川天心というファイターが次の時代を背負う存在であることの何よりの証明となった。

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今後の動向

今回の勝利により、那須川天心は世界バンタム級王座への挑戦に限りなく近づいた。秋に予定されている世界初挑戦が既定路線と見られているが、その前にもう1戦、あるいは2戦挟む可能性も決して低くはない

今回の試合が「世界前哨戦」として設定されていたにもかかわらず、天心本人も陣営も内容に納得していない。それは勝利を収めたにもかかわらず、理想とする完成度に到達していなかったという、トップアスリート特有の高すぎる自己基準ゆえのものだ。

この自己評価は、今後のスケジュールにも影響を及ぼすかもしれない。実戦でしか得られない経験値を積むために、あえてもう一戦組み込むという選択肢も現実味を帯びてくる。もちろん、現在のランキングの位置を考えれば、今すぐにでも世界挑戦の舞台に立つ資格は十分にある。実際、どの団体でも指名挑戦者として名乗りを上げられる可能性は極めて高い

しかしながら、バンタム級という階級には、日本人世界王者たちがひしめいており、団体を超えたベルト統一戦への期待も日に日に高まっている。会場にはその王者たちが顔を揃えており、那須川の戦いを見届けていたのも、そうした大局的な動きの一端である。天心はその視線を受け止めた上で、「全員と戦う」「全ベルトを狙う」と堂々と宣言した。言葉に一切のブレはなかった。

とはいえ、世界戦がどの団体、どの王者とのマッチメイクになるかは依然として不透明だ。秋の決戦が本当に実現するのか、それとももう一段階ギアを上げてから臨むのか――。那須川天心の歩みは、まさに世界のボクシングシーンそのものを動かす一手となるだろう

まとめ

那須川天心はこの試合で、単に勝利を収めただけではない。「KOだけが勝利ではない」ことを、静かに、そして力強く証明した。確かに世間は、那須川天心のような異次元の才能を持つ男に対して、常に「KO勝利」を求めてくる。だが、ボクシングという競技は、テクニックで相手を封じ、ポイントを積み上げて勝つこともまた、“本物”の勝利である

歴代の名王者を見ても、それは明らかだ。オレクサンドル・ウシク、ディミトリー・ビボル――彼らはKOでなくとも、緻密な戦術と高度な技術で4団体統一王者となった現役最強クラスのボクサーである。KOは華やかだ。しかし、勝利の本質は“いかにして相手に何もさせなかったか”にこそある。

那須川天心は今、その“本質”の入り口に立っている。判定勝利でも、技術の精度と戦略性の高さは際立っていた。ディフェンスの上手さ、距離感のコントロール、そしてラウンドを通して相手を攻略していく試合運び。すべてがハイレベルだった。勝ち方に悩むほど、彼の完成度は高みにある

もちろん、本人がKOにこだわる気持ちも理解できる。それは勝負師として、エンターテイナーとしての宿命でもある。だが、そのこだわりが無理につながる必要はない。那須川自身が納得できるスタイルを確立したとき、自然とKOは結果として現れるだろう

すでにどの観点から見ても、那須川のボクシングスタイルは突出している。あのスピード、あの精度、あの冷静さ。どれをとっても天才の域にある。ただし、彼はまだ発展途上に過ぎない。無敗を守り続け、進化を止めない姿勢こそが、彼を伝説へと導く最大の原動力となっている。

世界戦はゴールではなく通過点だ。すべてのベルトを手にし、階級を超え、世界の頂点へと昇り詰める。那須川天心の物語は、まだ始まったばかりだ。ここから先は、“牙を研ぎ続けた男”が世界にその存在を知らしめる本番となる。

倒さなくても勝てる。だが、倒せる強さも持っている。だからこそ、今の天心に心から敬意を表したい。そして、ボクシングの未来を担う若き王者に、大きなエールを送りたい。

那須川天心、ボクシング界の未来を背負い、世界へ牙を剥け。

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