本記事では、日本史上初の4階級制覇王者・井岡一翔選手について、戦績やファイトスタイル、特徴など、井岡選手のその強さについて解説していきます。
よろしくお願いします。
プロフィール
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
— 志成ボクシングジム (@SHISEIboxingGYM) April 28, 2023
井岡一翔 vs ジョシュア・フランコ
2023年6月24日(土)
ABEMA PPV 独占生中継 pic.twitter.com/IVYR5ji3zY
名前 | 井岡一翔 |
生年月日 | 1989年3月24日 |
デビュー | 2009年4月12日 |
出身地 | 大阪府堺市 |
身長 | 164cm |
リーチ | 164cm |
タイプ | 右ボクサーファイター |
階級 | ミニマム級 (47.62キロ) ライトフライ級 (48.97キロ) フライ級 (50.80キロ) スーパーフライ級 (52.16キロ) |
実績 | 世界4階級制覇 世界最速の3階級制覇を達成 日本人初の世界4階級制覇を達成 |
無敗の田中恒成を撃破
2020年12月31日、大田区総合体育館にて、井岡一翔はWBO世界スーパーフライ級1位で元世界3階級制覇王者の田中恒成(畑中)と対戦した。田中は世界最速の16戦目で4階級制覇を目指していたが、井岡は試合中にその夢を打ち砕いた。5回と6回にダウンを奪い、8回には右ストレートからの左フックで田中の膝を落とし、レフェリーが試合をストップ。結果、井岡は8回1分35秒TKO勝ちを収め、2度目の防衛に成功した。
この試合は、日本ボクシング界の歴史に残る1戦となり、その後、井岡はリングマガジンのパウンド・フォー・パウンドランキングで10位にランクインした。
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ジョシュア・フランコとの死闘
2022年12月31日、日本ボクシング界の至宝である井岡一翔が、11度目となる大晦日のメインイベントに臨んだ。運命のタイトル統一マッチ。対戦相手はWBA王者ジョシュア・フランコ。序盤、井岡はフランコの大ぶりのパンチを華麗に交わし、持ち味のテクニックを存分に発揮した。しかし、次第に雲行きは怪しくなり、試合はまさかの0対1のドローに終わった。
この結果に満足しない井岡は、この経験を糧にさらなるレベルアップを図った。そして迎えた2023年6月24日、運命の再戦の時が来た。日本最高のテクニシャンである井岡は、その学習能力の高さを世界に見せつけた。3キロのウェイトオーバーで臨んだフランコに対し、正確無比な攻撃、巧妙なディフェンス、高度な集中力で圧倒した。
結果は、井岡一翔の3-0の判定勝ち。誰もが納得する圧倒的な勝利で、この4階級王者同士のライバル対決に終止符を打った。井岡は、その実力を改めて証明し、ボクシングファンを魅了したのである。
戦績
アマ戦績 105戦95勝(64KO)10敗
プロ戦績 35戦31勝(16KO)3敗1分
世界戦戦績 26戦22勝(11KO)3敗1分
※2024年7月7日時点
わずか7戦目でオーレドン・シスマーチャイとのWBC世界ミニマム級タイトルマッチをおこない2度のダウンを奪い5RTKO勝利と圧勝、当時の日本人最速記録での世界王座獲得となった。
2012年、日本プロボクシング史上初の日本人同士の2団体王座統一戦。相手は大橋ジム所属の八重樫東。非常に白熱した試合となったが、結果は3-0で井岡の判定勝利。この試合によりWBC、WBA世界ミニマム級2団体統一王者となった。
そこから王座をすぐに返上し、2012年にライトフライ級に転向し、11戦目でライトフライ級チャンピオンを下し、当時日本人最速となる2階級制覇王者となった。
その後、ライトフライ級を3度防衛した後、さらに上のフライ級に転向。転向初戦でいきなりIBF世界フライ級タイトルマッチが組まれ、アムナット・ルエンロンと対戦した。試合はルエンロンに圧倒され、まさかの判定負け、初の黒星となった。その後、フライ級で復帰戦など試合を重ね、再度世界チャンピオンに挑戦。そして、悲願となる日本人史上最速の3階級制覇を達成した。
その後、一度は引退をはさみながらも、スーパーフライ級に階級あげ、日本男史ボクサー史上初の4階級制覇を達成。
フェルナンド・マルティネスとの2団体統一戦
2024年7月7日、両国国技館で待ちに待ったビッグマッチ、IBF世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネスとの王座統一戦に臨んだ。事前情報では井岡有利との声が多かったが、12回0-3(112-116、111-117、108-120)の判定負けを喫し、WBA王座から陥落するというまさかの結末となった。
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井岡一翔 VS フェルナンド・マルティネス 試合結果【まさかの結末】
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2009年4月12日 | 〇 | 3R 0:26 | TKO | トンタイレック・ポーウォラシン | タイ | プロデビュー戦 |
2 | 2009年7月26日 | 〇 | 2R 2:59 | TKO | 松本博志(角海老宝石) | 日本 | |
3 | 2009年12月29日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | 國重隆(大阪帝拳) | 日本 | |
4 | 2010年4月18日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ヘリ・アモル | インドネシア | |
5 | 2010年7月25日 | 〇 | 9R 1:57 | TKO | アルバート・アルコイ | フィリピン | |
6 | 2010年10月10日 | 〇 | 10R 1:57 | TKO | 瀬川正義 (横浜光) | 日本 | 日本ライトフライ級王座決定戦 |
7 | 2011年2月11日 | 〇 | 5R 1:07 | TKO | オーレイドン・シスサマーチャイ | タイ | WBC世界ミニマム級タイトルマッチ |
8 | 2011年8月10日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | フアン・エルナンデス | メキシコ | WBC防衛1 |
9 | 2011年12月31日 | 〇 | 1R 1:38 | TKO | ヨードグン・トーチャルンチャイ | タイ | WBC防衛2 |
10 | 2012年6月20日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | 八重樫東(大橋) | 日本 | WBA・WBC世界ミニマム級王座統一戦 WBA獲得・WBC防衛3 |
11 | 2012年12月31日 | 〇 | 6R 2:50 | TKO | ホセ・アルフレド・ロドリゲス | メキシコ | WBA世界ライトフライ級王座決定戦 |
12 | 2013年5月8日 | 〇 | 9R 2:51 | KO | ウィサヌ・ゴーキャットジム | タイ | WBA防衛1 |
13 | 2013年9月11日 | 〇 | 7R 2:17 | KO | クワンタイ・シッモーセン | タイ | WBA防衛2 |
14 | 2013年12月31日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | フェリックス・アルバラード | ニカラグア | WBA防衛3 |
15 | 2014年5月7日 | × | 12R | 判定1-2 | アムナット・ルエンロン | タイ | IBF世界フライ級タイトルマッチ |
16 | 2014年9月16日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | パブロ・カリージョ | コロンビア | |
17 | 2014年12月31日 | 〇 | 5R 2:09 | KO | ジャン・ピエロ・ペレス | ベネズエラ | |
18 | 2015年4月22日 | 〇 | 12R | 判定2-0 | ファン・カルロス・レベコ | アルゼンチン | WBA世界フライ級タイトルマッチ |
19 | 2015年9月27日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ロベルト・ドミンゴ・ソーサ | アルゼンチン | WBA防衛1 |
20 | 2015年12月31日 | 〇 | 11R 1:57 | TKO | ファン・カルロス・レベコ | アルゼンチン | WBA防衛2 |
21 | 2016年7月20日 | 〇 | 11R 1:11 | KO | キービン・ララ | ニカラグア | WBA防衛3 |
22 | 2016年12月31日 | 〇 | 7R 2:51 | TKO | スタンプ・キャットニワット | タイ | WBA世界フライ級王座統一戦 WBA防衛4 |
23 | 2017年4月23日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ノックノイ・シップラサート | タイ | WBA防衛5 |
24 | 2018年9月8日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | マックウィリアムズ・アローヨ | プエルトリコ | WBCシルバースーパーフライ級タイトルマッチ |
25 | 2018年12月31日 | × | 12R | 判定1-2 | ドニー・ニエテス | フィリピン | WBO世界スーパーフライ級王座決定戦 |
26 | 2019年6月19日 | 〇 | 10R 1:46 | TKO | アストン・パリクテ | フィリピン | WBO世界スーパーフライ級王座決定戦 |
27 | 2019年12月31日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ジェイビエール・シントロン | プエルトリコ | WBO防衛1 |
28 | 2020年12月31日 | 〇 | 8R 1:35 | TKO | 田中恒成(畑中) | 日本 | WBO防衛2 |
29 | 2021年9月1日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア | メキシコ | WBO防衛3 |
30 | 2021年12月31日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | 福永亮次(角海老宝石) | 日本 | WBO防衛4 |
31 | 2022年7月13日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ドニー・ニエテス | フィリピン | WBO防衛5 |
32 | 2022年12月31日 | △ | 12R | 判定0-1 | ジョシュア・フランコ | アメリカ合衆国 | WBA・WBO世界スーパーフライ級王座統一戦 WBO防衛6 |
33 | 2023年6月24日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ジョシュア・フランコ | アメリカ合衆国 | WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ |
34 | 2023年12月31日 | 〇 | 7R 2:44 | KO | ホスベル・ペレス | ベネズエラ | WBA防衛1 |
35 | 2024年7月7日 | × | 12R | 判定0-3 | フェルナンド・マルティネス | アルゼンチン | WBA・IBF世界スーパーフライ級王座統一戦 WBA陥落 |
ファイトスタイル・能力
井岡は、ファイタータイプのオーソドックススタイルだ。
接近戦を得意としながら間合いを制し、豊富なコンビネーション、高度な駆け引きを可能とし、世界トップクラスのテクニック型ファイターである。
一発の破壊力や強靭なフィジカルがあるわけではないが、高い能力の技巧派スタイルである。
だが、やはり4階級制覇、只者ではない。時には強力な左フック、左ボディを武器とする。失神したまま担架で運び出されるほどのダメージを負わせたこともあるほどだ。
井岡は理想のボクシングとして、あの6階級制覇王者であるオスカーデラホーヤを挙げている。彼を彷彿とさせるような攻防の駆け引きのうまさが井岡にも感じられる。全ての動きが次の井岡の予測する展開につながるように考えているのだろう。そういった井岡のボクシングはデラホーヤのスタイルにどこか似ているように思える。
オフェンス
スピードを生かし相手のスキを突いたボディやアッパーで試合を優位に進める。的確なコンビネーション。上から下への打ち分け、非常にコンパクトでスピードがある。
特にインファイトになった時の攻撃が素晴らしい。接近戦になれば瞬時にスペースを作り、アッパー・フックを強振する。非常に高いテクニックである。
序盤から距離を支配し、相手が近づいてくる分だけ下がっては、自分のパンチだけを当てるのが非常に上手く、完成度の高いテクニックで勝負する印象である。しかし、退屈な試合が多いと言われることも多々あり、井岡一翔のボクシングは、明かに玄人向けのスタイルである。
ディフェンス
ディフェンステクニックに漏れがない選手である。
強固な両手ガード、パーリングで相手の攻撃を防ぐ。上体を常に前傾姿勢に保ち続け、身体を丸めた構えをすることでガードの必要な面積を少なくしている。
ステップワークで外すボクシングではなく、ガードとパーリングで処理する印象がある。自分の得意な距離に詰めて相手の攻撃を打たせない、打たせずらくすることも得意な戦術の1つとしている。
スーパーフライ級主要選手
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全階級PFP | ライト級 |
ミニマム級 | スーパーライト級 |
ライトフライ級 | ウェルター級 |
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