2012年6月20日 WBC・WBAミニマム級王座統一戦
現在でも語り継がれる、日本プロボクシング史上初の現役世界王者同士による団体王座統一戦。
その熱狂の中心にいたのは、WBCミニマム級王者・井岡一翔と、WBAミニマム級王者・八重樫東である。今回は、2012年6月20日に行われた井岡一翔 vs 八重樫東戦について、試合結果、見どころ、ターニングポイントまで徹底的にレビューしていく。ボクシングファンはもちろん、これからボクシングに興味を持つ人もぜひチェックしてほしい。
両者データ比較
#OnThisDay in 2012🥊
— ボクシングビート (@beat_macc) June 20, 2024
『ボクシング・ビート』2012年8月号の表紙--
WBC・WBA世界ミニマム級王座統一戦
井岡一翔vs八重樫東
徹底特報 チャンピオン井岡が語る6.20、負けて株を上げた八重樫 etc
・内外世界戦レポート 佐藤洋太xロペス戦、ドネアxマゼブラ戦
・世界を引っ張る中量級特集… pic.twitter.com/V6xAlPp91V
試合日程・概要
この試合は2012年6月20日、大阪府立体育会館(当時の名称はBODYMAKERコロシアム)で開催された。
WBCミニマム級王者である井岡一翔と、WBAミニマム級王者である八重樫東が激突する、日本プロボクシング界初の異団体王者同士による王座統一戦として、国内外から大きな注目を集めた。中継はTBS系列によって行われ、試合発表の段階から多くのメディアが取り上げるなど、まさに国民的ボクシングイベントに発展していった。
両者のプロフィール
井岡一翔は、大阪府堺市出身、井岡ボクシングジム所属。興國高等学校時代には高校6冠という偉業を成し遂げ、東京農業大学進学後もアマチュアボクサーとして活躍した。大学2年で中退後、2009年4月にプロデビュー。デビューからわずか5戦目で日本ライトフライ級王座を獲得し、2011年2月にはデビュー7戦目でWBC世界ミニマム級王座を獲得した当時の最短記録保持者でもある。
一方の八重樫東は、岩手県北上市出身で大橋ボクシングジム所属。岩手県立黒沢尻工業高校から拓殖大学に進学し、インターハイ、国体優勝を果たすなど豊富なアマチュアキャリアを持つ。2005年3月にプロ転向後、東洋太平洋ミニマム級王座を経て、2011年10月にポンサワン・ポープラムックを破りWBA世界ミニマム級王者となった。
ファイトスタイル
井岡一翔は、抜群の距離感と切れ味鋭いパンチが最大の武器である。さらにハンドスピードとフットワークも卓越しており、冷静沈着な試合運びを得意とする。
対する八重樫東は、左右への素早い動きとパンチの回転力が特長だ。特に精神力の強さには定評があり、どんな逆境でも前に出る勇敢なファイターである。
両者には過去に数回のスパーリング経験もあり、互いの力量を十分に認め合った上での対決となった。
見どころ
この試合最大の見どころは、日本初の現役世界王者同士による団体王座統一戦という点にある。
しかも、井岡ジム会長・井岡弘樹と大橋ジム会長・大橋秀行は現役時代、共にWBC世界ミニマム級王者として名を馳せたライバル同士。弟子たちの代理戦争という色合いも強く、ボクシングファンにとっては夢のカードだった。
さらに、両者の放送権問題や、WBAとWBCで異なるルール問題といった数々の障害を乗り越えて実現したこの試合には、選手たちだけでなく両陣営、そしてボクシング界全体の熱い思いが込められていた。
試合結果
試合は序盤から緊迫感に包まれた。
井岡一翔が積極的にジャブを放ち、八重樫東も前に出て応戦する展開となった。序盤は八重樫のプレッシャーに押される場面も見られたが、井岡はジャブとカウンターを武器にリズムを取り戻していく。八重樫は初回に左目、3回には右目を腫らすなど、ダメージを受けながらも強気のファイトを続けた。
試合途中にはドクターチェックが何度も入り、八重樫にとっては試合続行そのものがサバイバルとなった。
公開採点では4回終了時点で三者とも38-38のドロー、8回終了時点では2者が井岡を支持、1者が八重樫を支持する極めて拮抗した内容だった。
そして最終ラウンドでは両者とも最後の力を振り絞る壮絶な打ち合いを見せ、観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
最終結果は、井岡一翔が3-0(115-114、115-113、115-113)で判定勝利。WBC王座の3度目の防衛と同時に、WBA王座の獲得という偉業を成し遂げた。
ターニングポイント
この試合のターニングポイントは、何といっても井岡の左ジャブだった。
距離をコントロールし、八重樫の突進を食い止め、さらにカウンターにつなげるこの左ジャブが試合の流れを完全に握った要素となった。
八重樫は出血と両目の腫れにもめげず攻め続けたが、井岡の冷静な戦術がそれを上回った。特に終盤、疲労が蓄積した状態でなおも的確に放たれたジャブとカウンターは、技術の差を決定付けた。
今後の動向
この試合後、井岡一翔はさらなる階級アップを果たし、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級と階級を上げながら世界王座を獲得していく。
一方、八重樫東も敗戦を乗り越え、その後フライ級、ライトフライ級でも世界王座を獲得し、三階級制覇王者となった。
この一戦は、単なる団体統一戦に留まらず、両者のキャリアを飛躍させるきっかけとなったのである。
まとめ
井岡一翔 vs 八重樫東の一戦は、日本ボクシング界に新たな歴史を刻んだ記念碑的な試合であった。
実力、意地、そして技術のすべてがぶつかり合った12ラウンドは、今なお多くのボクシングファンの記憶に強く刻まれている。この試合が実現した背景には、両陣営の情熱と努力があった。そして、両者が全力を尽くして戦ったからこそ、この試合は今なお「伝説の統一戦」として語り継がれているのである。
ボクシングが単なる格闘技ではなく、ドラマであり、人生であることを改めて教えてくれる一戦だった。
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