本記事では、ライトヘビー級の2代巨頭の一角として君臨する、圧倒的な強さを誇るボクサーアルツール・ベテルビエフについて解説する。ベテルビエフは、類まれなパワーと卓越した技術を持ち合わせ、世界中のファンを魅了してきた選手だ。これまで数々の強豪を打ち倒し、驚異的なKO率の戦績を誇る彼。この記事では、ベテルビエフの戦績やファイトスタイル、そして彼の圧倒的な強さの秘密に迫っていく。ぜひ最後まで読んで、彼の強さの真髄を感じ取ってほしい。
プロフィール
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— Artur Beterbiev (@ABeterbiev) October 28, 2023
名前 | アルツール・ベテルビエフ |
生年月日 | 1985年1月21日 |
デビュー | 2013年6月8日 |
出身地 | ハサヴユルト(ロシア) |
身長 | 182cm |
リーチ | 185cm |
タイプ | 右ボクサーファイター |
階級 | ライトヘビー級 (79.38キロ |
実績 | 主要4団体統一(ライトヘビー級) |
アルツール・ベテルビエフ(Artur Beterbiev)は、1985年1月21日にロシア連邦チェチェン共和国で生まれた。幼い頃からボクシングに取り組み、ロシア国内外で数々の大会に出場し成功を収めた。
現在、ベテルビエフはカナダを拠点に活動しているが、彼の原点はロシアのアマチュアボクシングにある。アマチュア時代には、数々の国際大会で活躍し、特にヨーロッパ選手権や世界選手権でのメダル獲得が印象的だ。
2009年にプロ転向後、彼はすぐに頭角を現し、現在ではWBA・WBC、IBF、WBOの4つの世界タイトルを保持する統一ライトヘビー級チャンピオンとして君臨している。彼の圧倒的な戦績と無敗記録は、ボクシング界でも特筆すべきものだ。
戦績
アマ戦績 300戦295勝5敗
プロ戦績 21戦21勝(20KO)無敗
世界戦戦績 10戦10勝(9KO)無敗
※2024年10月12日時点
アルツール・ベテルビエフは、アマチュア時代から既に輝かしい実績を残しており、圧倒的な強さを誇る選手だった。彼はアマチュアで300戦という膨大な試合数を経験しているが、その中でわずか5敗しかしていない。これほど少ない敗北でアマチュアキャリアを通過する選手は非常に珍しい。ベテルビエフは、この時期に数々の国際大会で成功を収めており、2006年と2010年のヨーロッパ選手権では金メダル、2007年の世界選手権では銀、2009年の世界選手権では金メダルを獲得している。さらに、2012年にはロンドンオリンピックにも出場し、その実力を世界に示した。
これらの経験は、彼のプロキャリアの強固な土台となり、現在のベテルビエフを支える要因となっている。30代後半という年齢に差し掛かり、ボクシング界ではベテランの域に入っているが、彼は無敗の戦績を維持し続けている。そして、最も驚くべきは彼のKO率の高さである。この圧倒的なパフォーマンスは、対戦相手に恐れられる要因となり、多くの選手が彼との試合を避けたいと感じるほどの存在感を持っている。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2013年6月8日 | 〇 | 2R 2:21 | TKO | クリスチャン・クルス | アメリカ合衆国 | プロデビュー戦 |
2 | 2013年9月28日 | 〇 | 3R 終了 | TKO | ライコ・ソーンダース | アメリカ合衆国 | |
3 | 2013年11月30日 | 〇 | 1R 2:49 | KO | ビリー・ベイリー | アメリカ合衆国 | |
4 | 2014年1月18日 | 〇 | 4R 2:44 | TKO | ガブリエル・エクロニエル | フランス | |
5 | 2014年8月22日 | 〇 | 1R 2:38 | TKO | アルバロ・エンリケス | メキシコ | |
6 | 2014年9月27日 | 〇 | 2R 0:38 | KO | タボリス・クラウド | アメリカ合衆国 | NABA北米ライトヘビー級王座決定戦 |
7 | 2014年12月19日 | 〇 | 2R 2:21 | TKO | ジェフ・ページ・ジュニア | アメリカ合衆国 | NABA防衛1 NABO北米ライトヘビー級王座決定戦 IBF北米ライトヘビー級王座決定戦 |
8 | 2015年4月5日 | 〇 | 4R 0:37 | KO | ガブリエル・カンピージョ | スペイン | IBF北米防衛1 |
9 | 2015年6月12日 | 〇 | 7R 1:38 | TKO | アレクサンダー・ジョンソン | アメリカ合衆国 | NABA防衛2 WBOインターナショナルライトヘビー級王座決定戦 |
10 | 2016年6月4日 | 〇 | 4R 0:54 | TKO | エゼキエル・オズバルト・マデルナ | アルゼンチン | NABA防衛3 |
11 | 2016年12月23日 | 〇 | 1R 2:44 | TKO | イシドロ・ラモニ・プリエト | パラグアイ | NABA防衛4 |
12 | 2017年11月11日 | 〇 | 12R 2:33 | KO | エンリコ・コーリング | ドイツ | IBF世界ライトヘビー級王座決定戦 |
13 | 2018年10月6日 | 〇 | 4R 2:36 | KO | カラム・ジョンソン | イギリス | IBF防衛1 |
14 | 2019年5月4日 | 〇 | 5R 0:13 | TKO | ラディボェ・カライジッチ | アメリカ合衆国 | IBF防衛2 |
15 | 2019年10月18日 | 〇 | 10R 2:49 | TKO | オレクサンドル・グウォジク | ウクライナ | WBC・IBF世界ライトヘビー級王座統一戦 WBC獲得・IBF防衛3 |
16 | 2021年3月20日 | 〇 | 10R 1:34 | KO | アダム・デインズ | ドイツ | WBC防衛1・IBF防衛4 |
17 | 2021年12月17日 | 〇 | 9R 0:46 | KO | マーカス・ブラウン | アメリカ合衆国 | WBC防衛2・IBF防衛5 |
18 | 2022年6月18日 | 〇 | 2R 2:19 | TKO | ジョー・スミス・ジュニア | アメリカ合衆国 | WBC・IBF・WBO世界ライトヘビー級王座統一戦 WBC防衛3・IBF防衛6・WBO獲得 |
19 | 2023年1月28日 | 〇 | 8R 2:01 | TKO | アンソニー・ヤード | イギリス | WBC防衛4・IBF防衛7・WBO防衛1 |
20 | 2024年1月13日 | 〇 | 7R 2:00 | TKO | カラム・スミス | イギリス | WBC防衛5・IBF防衛8・WBO防衛2 |
21 | 2024年1月12日 | 〇 | 12R | 2-0 | ディミトリー・ビボル | ロシア | WBA・WBC・IBF・WBO世界ライトヘビー級王座統一戦 WBA獲得・WBC防衛6・IBF防衛9・WBO防衛3 |
アルツール・ベテルビエフのキャリアには、ボクシングファンの間で特に注目される試合がいくつか存在する。
グウォジク戦:タイトル統一
まず注目すべき試合は、2019年のオレクサンダ・グウォジク戦である。この試合でベテルビエフは、すでに保持していたIBFライトヘビー級タイトルに加えて、WBCライトヘビー級タイトルを奪取し、見事にタイトルを統一した。試合は10ラウンドに及び、彼の強力なパンチと卓越したテクニックが光った瞬間であった。TKO勝利によって、ベテルビエフの名声は世界に広まり、彼がライトヘビー級で真の王者であることが証明された。
スミス・ジュニア戦:3団体統一
2022年のジョー・スミス・ジュニア戦も見逃せない一戦である。この試合では、ベテルビエフがWBOライトヘビー級タイトルを手にし、3つのメジャータイトルを保持することとなった。この試合でもベテルビエフは、持ち前のKO率100%を維持し、スミス・ジュニアを圧倒的なパワーで下した。しかし、この試合で注目すべきは、彼のパワーだけでなく、戦術的な巧みさである。スミス・ジュニアの攻撃を巧みに封じ込め、ベテルビエフは知性的なファイティングスタイルを見せつけ、KO勝利を収めた。
ディミトリー・ビボル戦:4団体統一
2024年10月12日、サウジアラビア・リヤドで行われたライトヘビー級の4団体統一タイトルマッチで、アルツール・ベテルビエフはついにディミトリー・ビボルとの歴史的一戦を制した。この試合は、ボクシング史においても特別な位置を占めるもので、4つの主要団体(WBC、IBF、WBO、WBA)のベルトが一つに統一される、まさに「比類なき王者」を決める戦いだった。
試合は序盤から激しい攻防が繰り広げられた。ビボルは左ジャブで距離を取り、ベテルビエフの猛攻をかわしつつ、正確なカウンターで応戦。しかしベテルビエフは、持ち前の強打とプレッシャーで徐々に主導権を握り、特に5回には左フックと右ボディで観客を沸かせた。ビボルも粘り強く反撃したが、後半戦でのベテルビエフの猛攻が勝負を決め、最終的には2-0の判定勝ちで栄光を手にした。この勝利で、ベテルビエフはプロキャリア初の判定勝利を飾り、史上初のライトヘビー級4団体統一王者に輝いた。
試合記事はコチラ↓
ベテルビエフ vs ビボル 試合結果【比類なき王者の誕生】DAZN Boxing
ファイトスタイル・能力
アルツール・ベテルビエフは、オーソドックススタイルのボクサーファイターであり、右利きの構えから繰り出される強烈なパンチが彼の最大の武器だ。全勝無敗・20戦連続KOという驚異的な成績を残しているのは、その圧倒的な破壊力に起因しているだろう。彼の戦い方は、時に防御を犠牲にしながらも、相手を力でねじ伏せ、最終的には必ずKOで試合を終わらせる。その強力な攻撃力こそ、ベテルビエフの最大の特徴である。
攻防の距離
アルツール・ベテルビエフは、近距離と中間距離を得意とし、常に相手にプレッシャーをかけるボクシングスタイルを持っている。彼は、相手をロープ際に追い込むと即座に攻撃を仕掛け、強烈なパンチを放つことで試合の主導権を握る。一方で、遠い距離での戦いはあまり得意ではない印象があり、フットワークの歩幅が細かく小さいため、遠い距離からの大きな踏み込みの攻撃はあまり見られない。
このように、常にお互いが危険な距離にいる状況を作り出すため、彼の試合は非常に緊張感のあるものになることが多い。相手はベテルビエフの強力なパンチを警戒しなければならず、試合全体を通して高い緊張感が漂う。
オフェンス
アルツール・ベテルビエフの攻撃は、左右両手からのストレートとフックが強力である。彼のスピードはやや遅めだが、その威力は凄まじく、一度彼の攻撃に捕まれば試合がすぐに終わってしまうほどの高いパワーを持ち合わせている。
特に、左ジャブ・左フックを起点としたコンビネーションは、精度が高く、重量級らしい圧倒的な威力を誇る。また、相手の左ジャブに合わせた右のクロスカウンターも一級品である。とにかく無駄な動きが少なく、コンパクトな攻撃を次々に繰り出す彼のスタイルは、攻撃の的中率も非常に高く、世界トップクラスのレベルにあると言える。
さらに、ベテルビエフはボディへの攻撃にも長けており、相手の体力を徐々に奪っていく。彼のパンチは力任せに打つのではなく、正確なタイミングと精度を持って打ち込まれるため、常に相手はプレッシャーを感じることになる。
ディフェンス
相手の様子を伺っている時は、ガードを顔の前にガッチリと固め、必要最低限のバックステップでパンチを見切る。非常に冷静で丁寧ではあるものの、シンプルな守りである、テクニック的にはやや低い印象。相手の攻撃の被弾も多く、これまでにダウンを奪われたこともあるため、ベテルビエフのディフェンスは少し穴がある印象だ。
ロープ際に追い詰め、攻め入る時は丁寧にガードすることはせず、完全に攻撃重視型になる印象がある。そういった攻防のメリハリがとてもハッキリしているスタイルである。
ライトヘビー級主要選手
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