ボクシングファンならずとも注目を集めているフェザー級の新星、ニック・ボール(Nick Ball)。その小柄な体格からは想像できないほどの爆発力とプレッシャーファイトで、多くの強豪を圧倒してきた。今後は、日本が誇るモンスター、井上尚弥との対戦も噂されており、ますます注目度が高まっている。この記事では、ニック・ボールのプロフィールから戦績、ファイトスタイルまで徹底解剖する。ボクシングファン必見の内容となっているので、ぜひ最後まで読んでほしい。
プロフィール
コピー名前 | ニック・ボール |
生年月日 | 1997年2月28日 |
デビュー | 2017年6月30日 |
出身地 | イギリス |
身長 | 157cm |
リーチ | 165cm |
タイプ | 右ファイター |
階級 | フェザー級 (57.15キロ) |
ボールは、プロ転向後、その前に出る姿勢と連打の回転力で頭角を現してきた。フェザー級では珍しいほどの低身長ボクサーであるが、そのハンデを一切感じさせないファイトを見せる。
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戦績
プロ戦績 23戦22勝(13KO)無敗1分
世界戦戦績 4戦3勝(2KO)無敗1分
※井上尚弥戦前の戦績
ニック・ボールのこれまでのプロ戦績は、22勝1分(13KO)無敗という非常に優れたものだ。デビュー以来、一度も敗北を喫していない点は大きな強みである。
一方で、KO率は約59%と、フェザー級の中ではまずまずといった印象だ。絶対的な一撃必殺タイプではないが、持ち前の連打とプレッシャーでじわじわと相手を追い詰め、試合を終わらせるパターンが多い。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2017年6月30日 | 〇 | 4R | 判定 | ドミトリス・グットマンス | ラトビア | プロデビュー戦 |
2 | 2017年7月29日 | 〇 | 4R | 判定 | ジェイミー・クイン | イギリス | |
3 | 2017年9月29日 | 〇 | 4R | 判定 | ルーク・ファッシュ | イギリス | |
4 | 2017年11月4日 | 〇 | 4R | 判定 | アントニオ・ホルバティッチ | クロアチア | |
5 | 2018年3月2日 | 〇 | 4R | 判定 | イノセント・アニャンウー | オランダ | |
6 | 2018年7月21日 | 〇 | 2R 2:30 | TKO | ブライアン・フィリップス | イギリス | |
7 | 2018年11月27日 | 〇 | 2R 1:55 | TKO | ジョー・ダッカー | イギリス | |
8 | 2019年3月2日 | 〇 | 2R 1:37 | KO | レイナルド・カジーナ | ニカラグア | |
9 | 2019年5月4日 | 〇 | 3R 0:43 | TKO | マイケル・カレーロ | ニカラグア | |
10 | 2019年9月21日 | 〇 | 6R | 判定 | アブドン・セザール | カメルーン | |
11 | 2019年11月18日 | 〇 | 2R 2:45 | TKO | ジョンソン・テレス | ニカラグア | |
12 | 2020年2月28日 | 〇 | 1R 終了 | TKO | イワン・ゴドール | スロバキア | |
13 | 2020年7月31日 | 〇 | 8R | 判定 | ジェローム・キャンベル | イギリス | |
14 | 2021年10月9日 | 〇 | 1R 0:36 | TKO | ピョートル・グデル | ポーランド | |
15 | 2022年4月23日 | 〇 | 6R 1:45 | TKO | アイザック・ロウ | イギリス | WBC世界フェザー級シルバー王座決定戦 |
16 | 2022年7月16日 | 〇 | 12R 1:27 | TKO | ナサニエル・カコロロ | ナミビア | WBCシルバー防衛1 |
17 | 2022年11月11日 | 〇 | 1R 1:48 | TKO | ヘスス・ラミレス・ルビオ | メキシコ | WBCシルバー防衛2 |
18 | 2023年5月27日 | 〇 | 12R 2:15 | TKO | ルドゥモ・ラマティ | 南アフリカ共和国 | WBCシルバー防衛3 |
19 | 2023年11月18日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | アイザック・ドグボエ | イギリス | WBCフェザー級挑戦者決定戦 WBCシルバー防衛4 |
20 | 2024年3月8日 | △ | 12R | 判定1-1 | レイ・バルガス | メキシコ | WBC世界フェザー級タイトルマッチ |
21 | 2024年6月1日 | 〇 | 12R | 判定2-1 | レイモンド・フォード | アメリカ合衆国 | WBA世界フェザー級タイトルマッチ |
22 | 2024年10月5日 | 〇 | 10R 2:06 | TKO | ロニー・リオス | アメリカ合衆国 | WBA防衛1 |
23 | 2025年3月15日 | 〇 | 10R 終了 | TKO | テレンス・ジョン・ドヘニー | アイルランド | WBA防衛2 |
2025年3月には元世界王者TJ・ドヘニーを相手に10ラウンドTKO勝利を収め、ついにWBA世界フェザー級王座を獲得した。これによって、ボールは世界のトップ戦線に本格的に食い込んだと言えるだろう。
これまでの対戦相手には、レイモンド・フォードやレイ・バルガスなど、実力者たちが名を連ねる。特にフォード戦では判定で競り勝ち、バルガス戦では引き分けに持ち込むなど、着実に実績を積み重ねてきた。
無敗を維持していること自体が何よりの強みであり、今後さらなる強豪との対戦を経て、どれだけ自分のスタイルを貫けるかが大きな注目ポイントである。
ファイトスタイル・能力

ニック・ボールの戦い方は一言で言えば、突貫型ファイターである。
常に前進を意識し、ハイガードでガッチリと顔面を守りながら距離を詰め、接近戦で勝負するスタイルだ。小柄な体格を逆手に取り、低い姿勢から打ち上げるようなアッパーやフックを多用する。
体格差で不利になる場面が多いが、本人はそれを全く気にしていない。むしろ、自分の間合いに入れるかどうかを最優先にし、どんな相手でも臆せず攻め込む姿勢を貫いている。
その戦いぶりは「攻撃こそ最大の防御」を体現するようなスタイルで、観客を魅了すること間違いなしだ。
オフェンス
ニック・ボールの攻撃面で最も特徴的なのは、連打の回転力と変則的な角度から繰り出されるパンチだ。
- 左アッパーや左右のショートフックが得意
- 上下に打ち分けることで相手のディフェンスを揺さぶる
- 体を沈めてのフェイントからのアッパーやストレートが武器
- 時にサウスポーにスイッチしてタイミングをずらす
ドヘニー戦では、アッパーを中心とした連打で相手のスタミナを削り続け、最終的に勝負を決める形となった。また、接近戦でのパンチの多彩さと小刻みな動きによるリズムの変化も魅力だ。
ただし、リーチの短さゆえに中間距離からの仕掛けではやや不利となり、距離を詰めるまでに無駄打ちや空振りが目立つ場面もある。
ディフェンス
防御面では、ボールはハイガードを基本とするクラシックなガードスタイルである。左右のグローブで顔面をしっかり守りながら前進するが、頭部の動きはそこまで多くない。
- パンチをブロックして前に出ることが前提のディフェンス
- 状態を揺らしてパンチを外すようなスリッピング技術は少ない
- アウトボクサーには比較的弱く、足を使われるとやや不利
ドヘニー戦では、序盤にアウトボクシングでリズムを奪われたが、相手の足が止まると一気にペースを取り戻す展開となった。これはつまり、スタミナが切れた相手にはとことん強いが、終始リングを動き回るタイプの相手には苦戦を強いられる可能性を示唆している。
また、ジャブの踏み込みが大きく読みやすいため、カウンター狙いの相手には注意が必要だ。とはいえ、ガードの硬さと前進力は特筆すべき点であり、真正面から打ち合うタイプには滅法強い。
井上尚弥戦の注目ポイント
圧倒的なリーチ差と身長差
井上尚弥は165cm/リーチ171cm、ニック・ボールは160cm/リーチ157cm。 このリーチ差は14cm。ボクシングではこの差は決定的な武器になる可能性がある。井上が距離を取ってジャブとカウンターを的確に打ち込めば、ニック・ボールは懐に入る前に削られてしまう恐れがある。
ただし、ニック・ボールは身長差やリーチ差をものともしない前進型ファイターだ。井上にプレッシャーをかけ続けて、中に入り込めるかがカギになる。
猛獣 vs 精密機械のようなスタイルの対立
ニック・ボールは常に前進し、豪快な左右フックを連打する猪突猛進型。 井上尚弥は、正確なジャブ、タイミング完璧なカウンター、攻防一体のフットワークで相手をコントロールする職人タイプ。
この2人が戦えば、まさに「野性の爆発 vs 精密な制御」という異種格闘技的な構図になる。ファイトスタイルの噛み合いが非常に良いため、序盤から激戦になる可能性が高い。
ボールの耐久力とタフネス
これまでの試合を見る限り、ニック・ボールは顔面を何発食らっても止まらないゾンビタイプ。パンチをもらっても平然と前進し続ける姿は、観客を圧倒してきた。
一方で、井上のパンチは「打たれた相手が即座に崩れ落ちる」ほどの威力。ニック・ボールがこのパンチをどれだけ受け止められるか、それとも初のKO負けを喫するか――この耐久力勝負も非常に注目される。
スピード vs パワーの真っ向勝負
ニック・ボールの最大の武器は爆発的なパンチ力と身体のバネから繰り出す瞬発力。 井上尚弥は、無駄のない動きと的確なコンビネーション、卓越したスピードと反応速度が武器。
「パワー重視のイギリス流 vs スピード重視の日本流」、ボクシングスタイルの文化的な違いが全面に出る試合になる可能性が高い。
まとめ
ニック・ボールは、低身長・短リーチという物理的不利をものともしない突貫ファイターであり、接近戦の強さと手数で勝負をする典型的なインファイターである。井上尚弥のようなテクニック型の万能型選手との対戦では、距離を潰して接近戦に持ち込めるかが最大のポイントになるだろう。
ガードの上からでも破壊力のあるパンチを打てる井上に対して、どこまでプレッシャーをかけ続けられるかが勝負の分かれ目になるはずだ。
2025年12月の開催予定の井上尚弥戦では、ニック・ボールが自らのスタイルをどこまで貫けるか、そして真っ向からぶつかる姿勢がどこまで通用するのか、世界中のファンが注目している。
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