デビン・ヘイニー選手の戦績と強さ分析【ボクサー紹介】

ボクサー強さ解説
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ボクシング界は常に新しいスターと伝説の狭間で動いている。その中で無敗の技巧派ファイター、デビン・ヘイニーの存在は今もっとも熱い注目を集めている。過去にライト級で4団体統一王者に上り詰め、さらにスーパーライト級でも世界王座を獲得した。若くしてキャリアの大半を世界戦線のど真ん中で戦ってきたこの男が、ついにウェルター級の本流で真価を試されることになる。ここではデビン・ヘイニーというボクサーを徹底的に紹介し、その強さの秘密、戦績、そして迫る大一番に向けての注目点を掘り下げていく。

プロフィール

名前デビン・ヘイニー(Devin Haney
生年月日1998年11月17日
デビュー2015年12月11日
出身地サンフランシスコ(アメリカ)
身長173cm
リーチ180cm
タイプ右ボクサーファイター
階級ライト級 (61.23キロ)
スーパーライト級 (63.50キロ)
実績主要4団体統一(ライト級)
世界2階級制覇

デビン・ヘイニーは1998年11月17日生まれのアメリカ人ファイターである。父親がメイントレーナーを務めるスタイルで、アメリカのリングだけでなくメキシコでも初期のキャリアを積んだ。10代半ばという若さでデビューを果たし、メキシコでキャリアをスタートさせている。リング上では華やかでクールな立ち振る舞いを見せるが、実際の戦い方は非常に計算され尽くしたものだ。

過去には、WBAスーパー・WBC・WBO・IBFの世界主要4団体統一王者となった。この4団体統一という記録は、ライト級では史上初であり、男性ボクシング史上8人目の快挙だった。

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戦績

アマ戦績  146戦138勝8敗
プロ戦績  32戦31勝(15KO)無敗1無効
世界戦戦績 10戦9勝(1KO)無敗
1無効
※2024年4月20日時点

戦績だけを見ても驚異的だが、さらに重要なのは対戦相手の質である。

単なる無敗ボクサーではなく、ライト級時代にはロマチェンコ、ホルヘ・リナレス、ジョセフ・ディアスといった強豪を相手に勝利を積み上げてきた。スーパーライト級でもレジス・プログレイスといったトップ選手に勝利しており、戦ってきた相手のレベルは近年非常に高まってきた。

ライアンガルシアとの無効試合

2024年4月20日、ニューヨークのバークレイズ・センターで行われたWBC世界スーパーライト級王座の試合で、デビン・ヘイニーはライアン・ガルシアに判定で敗れた。しかし、その後のドーピング検査でガルシアの陽性反応が確認され、試合結果は無効試合に変更された。

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試合実績

日付勝敗時間内容対戦相手国籍備考
12015年12月11日1R 0:33TKOゴンサロ・ロペスメキシコプロデビュー戦
22015年12月18日1R 1:36TKOホセ・イニゲスメキシコ 
32016年2月20日6R判定3-0ホルヘ・エドガル・シラメキシコ 
42016年3月19日1R 2:26TKOローマン・メレンデスメキシコ 
52016年4月9日4R判定3-0ラファエル・バスケスプエルトリコ 
62016年5月21日4R 1:34TKOジャイロ・バルガスアメリカ合衆国 
72016年6月25日6R判定3-0クレイ・バーンズアメリカ合衆国 
82016年8月12日2R 1:45TKOハビエル・メラスメキシコ 
92016年8月27日6R判定3-0カルロス・カスティージョアメリカ合衆国 
102016年9月15日5R 1:19TKOマイク・ファウラーアメリカ合衆国 
112016年10月21日5R 1:45TKOカルロス・アントニオ・アビラメキシコ 
122017年1月12日1R 1:49TKOオディロン・リベラ・メザメキシコ 
132017年1月28日2R 0:56KOダニエル・アルマンド・ヴァレンズエラメキシコ 
142017年3月4日4R 1:34TKOマキシミーノ・トアラメキシコWBC世界ライト級ユース王座決定戦
152017年4月15日8R判定3-0ヘクトル・ガルシアメキシコ 
162017年6月24日5R 1:51KOミゲル・アンヘル・ペレス・アイスプロメキシコ 
172017年9月22日8R判定3-0エンリケ・ティノコメキシコ 
182017年11月4日5R 1:39TKOハムザ・センペウォウガンダの旗 ウガンダ 
192018年5月11日9R 終了TKOメイソン・メナードアメリカ合衆国USBA全米ライト級王座決定戦
202018年9月28日10R判定3-0ファン・カルロス・ブルゴスメキシコの旗 メキシコIBF北米ライト級王座決定戦
212019年1月11日10R判定3-0スリサニ・ンドンゲニ南アフリカ共和国WBCインターナショナルライト級王座決定戦
WBOインターコンチネンタルライト級王座決定戦
222019年5月25日7R 2:32TKOアントニオ・モランメキシコWBCインターナショナル防衛1・WBOインターコンチネンタル防衛1
WBAインターナショナルライト級王座決定戦
232019年9月13日4R 終了TKOザウル・アブドゥラエフロシアWBC世界ライト級暫定王座決定戦→正規王座認定
242019年11月9日12R判定3-0アルフレド・サンティアゴドミニカ共和国WBC防衛1
252020年11月7日12R判定3-0ユリオルキス・ガンボアキューバWBC防衛2
262021年5月29日12R判定3-0ホルヘ・リナレス(帝拳)ベネズエラWBC防衛3
272021年12月4日12R判定3-0ジョセフ・ディアスアメリカ合衆国WBC世界ライト級王座統一戦
WBC防衛4
282022年6月5日12R判定3-0ジョージ・カンボソス・ジュニアオーストラリアWBA・WBC・IBF・WBO世界ライト級王座統一戦
WBC防衛5
292022年10月15日12R判定3-0ジョージ・カンボソス・ジュニアオーストラリアWBA防衛1・WBC防衛6・IBF防衛1・WBO防衛1
302023年5月20日12R判定3-0ワシル・ロマチェンコ ウクライナWBA防衛2・WBC防衛7・IBF防衛2・WBO防衛2
312023年5月9日12R判定3-0レジス・プログレイスアメリカ合衆国WBC世界スーパーライト級タイトルマッチ
322024年4月20日12R無効ライアン・ガルシアアメリカ合衆国
332025年11月22日ブライアン・ノーマンジュニアアメリカ合衆国WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
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ファイトスタイル

ヘイニーはボクサーファイタータイプの右オーソドックススタイルを基本としている。アウトボクシングもインファイトもこなせる万能型ではあるが、本質的には相手の懐に入らず、中間距離から遠距離で戦うアウトボクサーである。

リング中央を支配し、距離を制御することに関しては現役随一と言える。彼のボクシングは常に冷静沈着で、無駄な動きがなく、試合全体を美しいリズムで組み立てていく。

オフェンス

ヘイニーの攻撃はフィジカルの恵まれた体格と長いリーチを最大限に活かしたジャブとストレートに集約される。遠い距離から繰り出されるジャブは精密な測量器のように正確であり、これだけで試合を組み立てることが可能だ。だが、一発の威力は突出しているわけではなく、強打で倒すよりも確実に当ててポイントを重ねる戦術を好む。

彼は決してアグレッシブに攻め続ける選手ではない。むしろ常に冷静に相手を観察し、隙を見てボディへのストレートや距離を調整するための左フックを差し込む。加えて、接近戦では左手で相手の視界を遮り、見えない角度からアッパーを狙うといったトリッキーな工夫も見せる。これらの要素を組み合わせることで、彼の攻撃は派手さよりも戦術の巧妙さと精度で光るものとなっている。

ディフェンス

ヘイニーのボクシングの真骨頂は、何よりもディフェンス能力にある。ライト級において間違いなくトップクラスの防御技術を誇り、相手の攻撃を無効化する術を無数に持つ。

彼は常に冷静に相手の出方を観察し、状況に応じて最適な選択をする。相手が前進してきたときには、素早いバックステップで距離を外し、リング中央では俊敏なステップワークを駆使して角度を変えながら攻撃をかわす。ガードの使い方も非常に巧みで、メイウェザーを彷彿とさせるL字ガードを用い、相手のパンチを滑らせるように受け流す。また、頭の動きも鋭く、高速のウィービングで相手のコンビネーションを空転させることができる。

ロープ際に追い込まれる場面では、押し出すようなジャブを打ち込み、相手を下げさせて状況を立て直すこともあれば、敢えて接近戦に持ち込み、クリンチで完全に試合をリセットする選択もある。さらに、接近戦では単なる防御にとどまらず、左手で相手の視界を遮りながら、死角からアッパーやボディを狙うという高度なテクニックを織り交ぜる。

このように防御と攻撃をシームレスに融合させる点こそ、ヘイニーの芸術的なテクニカルボクシングの象徴である。相手に攻め手を見つけさせず、逆にその攻撃を利用して主導権を握る彼のディフェンスは、単なる守りではなく勝利へと直結する攻撃的な防御と言えるだろう。

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試合の注目ポイント

リングIQの高さ

ヘイニーの最大の武器は試合全体を俯瞰してコントロールする知性である。ラウンドごとに戦い方を変え、常に相手より一手先を読んで動く。攻防の選択が的確で、相手にペースを渡さない。

精密なジャブワーク

どんな相手に対しても中心となるのがリードハンドのジャブである。距離を支配し、試合のテンポを自分のものにするジャブは世界屈指の精度を誇る。

リスク回避の徹底

批判も受けるが、ヘイニーの試合は徹底的にリスクを避けている。これはつまり負けないボクシングを体現しているということだ。強打のある相手に対しても、危険な距離に入らないことで勝ちを積み重ねる。

精神的なタフさ

何度倒されても立ち上がり、冷静さを保つ強さはヘイニーの隠れた武器である。逆境を跳ね返す精神力があるからこそ、無敗の戦績を維持できている。

キャリアの積み重ね

若くしてトップ選手とばかり戦ってきたことが、彼の実力を裏打ちしている。リナレス、ロマチェンコ、プログレイスといった名だたる強豪を退けてきた経験は、何よりも大きな財産である。

まとめ

デビン・ヘイニーは単なる無敗ボクサーではない。ライト級4団体統一王者という偉業を達成し、スーパーライト級でも頂点を極めた。そして今なお無敗を維持し続けている。派手なKOは少なく、観客から「退屈」と批判されることもあるが、その裏にあるのは勝利に徹する徹底的な合理主義である。リングを支配し、相手を封じ込める冷静さは他の追随を許さない。精神力、技術、経験すべてが揃った技巧派の完成形ともいえる存在だ。デビン・ヘイニーの戦いは、ボクシングの奥深さを示す究極の実例であり、今後もボクシング界の中心で語られ続けることになるだろう。

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