日本人ボクサーの中でも、とりわけ注目を集める存在が京口紘人である。2017年に世界王者の座を獲得してから、彼のキャリアは常に上昇を続け、現在は3階級制覇に王手をかけるところまで来ている。
この記事では、京口紘人というボクサーのすべてを掘り下げていく。プロフィールから戦績、試合実績、ファイトスタイル、そして試合観戦時の注目ポイントまで徹底的に解説する。ボクシングファンならずとも、知っておいて損のない選手である。
プロフィール
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— 京口紘人 Hiroto Kyoguchi (@HirotoK1127) June 11, 2022
名前 | 京口 紘人 |
生年月日 | 1993年11月27日 |
デビュー | 2016年4月17日 |
出身地 | 大阪府和泉市 |
身長 | 162cm |
リーチ | 162cm |
タイプ | 右ボクサーファイター |
階級 | ミニマム級 (47.62キロ) ライトフライ級 (48.97キロ) フライ級 (50.80キロ) |
実績 | 世界2階級制覇 |
京口紘人は1993年11月27日、大阪府枚方市で生まれた。幼い頃かにボクシングを始め、中学卒業後に進学した大阪府立伯太高等学校では本格的に競技に取り組む。その後、大阪商業大学に進学し、アマチュアでの戦績は52勝14敗。大学時代から既に頭角を現していた逸材である。
2016年、ワタナベボクシングジムからプロデビュー。デビュー後は連勝街道を突き進み、僅か1年半後の2017年に世界王者へと駆け上がる。ここから彼の伝説が始まった。
戦績
アマ戦績 66戦52勝(8KO)14敗
プロ戦績 22戦19勝(12KO)3敗
世界戦戦績 10戦8勝(4KO)2敗
※2025年3月13日時点
プロデビューから8戦目で世界王座を獲得というスピード出世を果たし、その後も無敗のまま2階級制覇を達成。世界戦では2度の敗北を喫するも、いずれも激闘の末に敗れている。
ただし、京口は一度敗れた相手に対し、リベンジを果たすことにも成功しており、修正力の高さとメンタルの強さが際立つボクサーである。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2016年4月17日 | 〇 | 2R 2:55 | KO | ナーヨレック・シッサイトーン | タイ | プロデビュー戦 |
2 | 2016年5月16日 | 〇 | 1R 0:33 | TKO | ファンタ・ルークジャオメーサイトーン | タイ | |
3 | 2016年8月7日 | 〇 | 3R 0:39 | KO | 宮崎拳一(大橋) | 日本 | |
4 | 2016年11月15日 | 〇 | 1R 0:33 | KO | マイケル・カメリオン | フィリピン | |
5 | 2016年12月31日 | 〇 | 3R 0:46 | KO | ジュヌエル・ラカール | フィリピン | |
6 | 2017年2月28日 | 〇 | 3R 2:02 | KO | アルマンド・デラクルス | フィリピン | OPBF東洋太平洋ミニマム級王座決定戦 |
7 | 2017年4月25日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ジョナサン・レフジョ | フィリピン | OPBF防衛1 |
8 | 2017年7月23日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ホセ・アルグメド | メキシコ | IBF世界ミニマム級タイトルマッチ |
9 | 2017年12月31日 | 〇 | 8R 2:28 | TKO | カルロス・ブイトラゴ | ニカラグア | IBF防衛1 |
10 | 2018年5月20日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ビンス・パラス | フィリピン | IBF防衛2 |
11 | 2018年9月25日 | 〇 | 4R 2:20 | TKO | チボ・モナベサ | インドネシア | |
12 | 2018年12月31日 | 〇 | 10R 終了 | TKO | ヘッキー・ブドラー | 南アフリカ共和国 | WBAスーパー・世界ライトフライ級タイトルマッチ WBA・リングマガジン王座獲得 |
13 | 2019年6月19日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | サタンムアンレック・CPフレッシュマート | タイ | WBA防衛1 |
14 | 2019年10月1日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | 久田哲也(ハラダ) | 日本 | WBA防衛2 |
15 | 2021年3月13日 | 〇 | 5R 1:23 | TKO | アクセル・アラルゴン・ベガ | メキシコ | WBA防衛3 |
16 | 2022年6月10日 | 〇 | 8R 0:24 | TKO | エステバン・ベルムデス | メキシコ | WBA世界ライトフライ級王座統一戦 WBA防衛4 |
17 | 2022年11月1日 | × | 7R 2:36 | TKO | 寺地拳四朗(BMB) | 日本 | WBA・WBC世界ライトフライ級王座統一戦 WBA陥落 |
18 | 2023年5月20日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ローランド・ジェイ・ビエンディーマ | フィリピン | |
19 | 2023年9月22日 | 〇 | 3R 3:09 | KO | ジャーベン・ママ | フィリピン | |
20 | 2024年5月11日 | × | 10R | 判定0-3 | ビンス・パラス | フィリピン | |
21 | 2024年10月13日 | 〇 | 10R | 判定2-0 | ビンス・パラス | フィリピン | |
22 | 2025年3月13日 | × | 12R | 判定0-3 | アンソニー・オラスクアガ | アメリカ合衆国 | WBO世界フライ級タイトルマッチ |
2017年7月、プロ8戦目でIBF世界ミニマム級王者ホセ・アルグメドを破り、世界王者となる。日本人としては田中恒成に次ぐ世界最速級の戴冠で、ボクシングファンの間では大きな話題となった。
2018年12月にはWBA世界ライトフライ級王者ヘッキー・ブドラーを相手に王座を奪取。これにより、京口は2階級制覇王者の称号を手にする。以降、同王座を4度防衛するなど、階級内での実力を証明し続けた。
2022年にはWBC王者の寺地拳四朗との王座統一戦に挑み、日本ボクシング界を揺るがす名勝負を演じた。結果は判定負けだったが、その内容は高く評価されている。
2024年にはヴィンス・パラスに敗れるも、同年内の再戦で判定勝利を収め、リベンジを果たした。敗戦を糧に成長を遂げる姿勢こそ、京口の真骨頂である。
ファイトスタイル・能力

京口紘人のファイトスタイルは、攻守のバランスに優れた万能型である。基本的にはアウトボクサー気質で、リズムを作りながら的確に打ち込むスタイルが主軸となるが、状況次第では前に出て打ち合いに持ち込む柔軟性も持ち合わせている。スピード、スタミナ、判断力、戦術の多様さが光るファイターで、相手や展開に応じて自らのスタイルを変化させることができるのが最大の特徴だ。
オフェンス
攻撃面ではコンビネーションの多彩さと正確性が際立つ。特に深くえぐるような左ボディブローは、相手の体力を確実に削る主武器となっている。また、ジャブから右ストレート、左フックと繋げるスピードとリズムは、攻撃の起点として非常に強力だ。中間距離での駆け引きに長け、相手のガードの隙を突く鋭い攻撃が多く、試合の流れを掌握する力がある。
ディフェンス
ディフェンスにおいても京口は極めて高い技術を誇る。ガードを固めつつ、相手の打ち終わりにカウンターを合わせる技術や、軽快なステップワークで距離をコントロールする。接近戦ではブロッキングやヘッドスリップも多用し、被弾を最小限に抑える高い防御意識が光る。攻防の切り替えの早さが京口の武器であり、世界レベルで通用する大きな理由でもある。
試合の注目ポイント
試合を支配するペースコントロール
京口紘人の試合を観る上で、まず注目すべきなのは試合中のペースコントロールである。序盤は慎重に相手の動きを観察し、無理に攻め込まず距離感やタイミングを測る姿勢が目立つ。しかし中盤から後半にかけては一気にギアを上げ、相手を自分のリズムに巻き込んでいく。ラウンドごとに変化するペース配分と、冷静な試合運びは、世界レベルの戦いを支える重要な要素だ。
無駄のない多彩なコンビネーション
次に注目したいのが、コンビネーションの構成力だ。京口は単発のパンチよりも、上下左右に打ち分ける多彩な連打を武器にしている。ジャブからボディ、そしてアッパーにつなげる一連の流れには無駄がなく、フェイントを織り交ぜることで相手のガードを崩す工夫も凝らされている。打ち終わりを狙われない丁寧な連打構成は、ハイレベルな攻撃の証明である。
ボディ攻撃で主導権を握る
また、ボディ攻撃への執着も見逃せないポイントである。特に左のボディブローは、序盤から積極的に狙っていく傾向があり、相手のスタミナを確実に奪っていく。このボディへの攻撃が後半の展開を大きく左右する場面も多く、スタミナ勝負になれば京口が有利になる構造を意図的に作り出している。
接近戦でも崩れないメンタル
さらに、打ち合いの場面でも冷静さを保つメンタルの強さも京口の特長だ。普段はリーチやスピードを活かして距離を取るスタイルだが、相手が詰めてくる場面でも焦らず対応する。ショートレンジでのカウンターやクリンチの使い方も巧みで、接近戦でも戦える引き出しの多さが彼の強みとして際立っている。
敗戦から学ぶ修正力
最後に忘れてはならないのが、敗戦を糧に進化する力である。過去に世界戦で敗れた経験がある京口だが、再戦ではしっかりと修正を加え勝利を収めている。試合後の反省と次戦への修正点が明確であり、戦略的な学習能力と順応力の高さが京口の真骨頂である。これが彼を常にトップレベルにとどまらせる最大の理由だ。
京口紘人は、ただの技巧派ではない。戦える技巧派、倒せるアウトボクサーとして、今後も日本ボクシング界を牽引する存在である。2階級制覇に続き、3階級制覇の期待もかかっており、その一挙手一投足が注目されている。今後のキャリア次第では、日本ボクシング史上屈指の名選手として名を残すことは間違いない。リングに立つたびに成長を見せる京口の姿から、今後も目が離せない。
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