DAZN Boxing Beterbiev vs Bivol
ボクシングファン待望の一戦がサウジアラビアのリヤドで行われた。ライトヘビー級4団体統一タイトルマッチという歴史的な舞台で、アルツール・ベテルビエフとディミトリー・ビボルが激突。この試合は単なるタイトルマッチではなく、無敗同士のチャンピオン対決だ。両者の圧倒的な実力が交錯する壮絶な一戦は、世界中のボクシングファンを魅了した。今回は、両者のプロフィールやみどころ、そして試合結果、ターニングポイント、そして今後の展望について詳しく解説していく。
両者データ比較
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アルツール・ベテルビエフ | VS | ディミトリ―・ビボル (ドミトリー・ビボル) |
1985年1月21日 | 生年月日 | 1990年12月18日 |
2013年6月8日 | デビュー | 2014年11月28日 |
ハサヴユルト(ロシア) | 出身地 | トクマク(キルギスタン) |
182cm | 身長 | 183cm |
185cm | リーチ | 183cm |
右ボクサーファイター | タイプ | 右ボクサー |
ライトヘビー級 (79.38キロ | 階級 | ライトヘビー級 (79.38キロ) |
300戦295勝5敗 | アマ戦績 | 283戦268勝15敗 |
20戦20勝(20KO)無敗 | プロ戦績 | 23戦23勝(12KO)無敗 |
9戦9勝(9KO)無敗 | 世界戦績 | 15戦15勝(5KO)無敗 |
試合日程・概要
この注目の試合は2024年10月12日に、サウジアラビアのリヤドにあるキングダム・アリーナで行われた。ライトヘビー級の4団体統一タイトル戦であり、両者はそれぞれ無敗の戦績を誇る。ベテルビエフは20勝すべてをKO勝ちで飾っており、パンチ力が売りの強打者。一方のビボルは、テクニカルなファイターで、23勝のうち12KOというバランスの取れたファイターであった。
この試合は、ボクシング史上でも特別な意味を持つ。4つの主要なボクシング団体(WBC、WBA、IBF、WBO)の全てのベルトが統一される試合は稀であり、この試合に勝利すればライトヘビー級で史上初の「4団体統一王者」が決定する。
アルツール・ベテルビエフ
アルツール・ベテルビエフ(Artur Beterbiev)は、1985年1月21日にロシア連邦チェチェン共和国で生まれた。幼い頃からボクシングに取り組み、ロシア国内外で数々の大会に出場し成功を収めた。
現在、ベテルビエフはカナダを拠点に活動しているが、彼の原点はロシアのアマチュアボクシングにある。アマチュア時代には、数々の国際大会で活躍し、特にヨーロッパ選手権や世界選手権でのメダル獲得が印象的だ。
現在は、30代後半という年齢に差し掛かり、ボクシング界ではベテランの域に入っているが、彼は無敗の戦績を維持し続けている。そして、最も驚くべきは彼のKO率の高さである。これまでの圧倒的なパフォーマンスは、対戦相手に恐れられる要因となり、多くの選手が彼との試合を避けたいと感じるほどの存在感を持っている。
ディミトリー・ビボル
ディミトリー・ビボル(Dmitry Bivol)は、1980年12月18日生まれのロシア出身プロボクサーだ。ビボルはその卓越した技術と冷静な試合運びで知られており、デビュー以来無敗を誇る。彼のボクシングスタイルは、非常に洗練されたテクニックに加え、繊細で正確なストレートパンチが特長だ。
身長183cm、リーチ183cmという恵まれた身体的特長を活かし、ビボルは常に相手との距離を巧みにコントロールしながら、試合を支配している。特に彼の鋭いストレートパンチは、技術的な正確さで相手を封じ込める武器となっている。
ファイトスタイル
アルツール・ベテルビエフ
ベテルビエフのファイトスタイルは非常に攻撃的で、特に中間距離からのパワーパンチが強力だ。彼は相手に圧力をかけ続け、じわじわと崩していくスタイルで、常にKOを狙っている。ディフェンスに関しては過去の試合でカウンターをもらうことが多々あったが、その分、攻撃の破壊力で相手を圧倒するため、ディフェンス面の弱点が目立たなくなることが多い。
ディミトリー・ビボル
ビボルはディフェンシブでありながらも攻撃の機会を逃さない「ボクサー型」の選手だ。彼は足を使い、的確なジャブと組み合わせて相手をコントロールする能力に長けている。試合中も非常に冷静で、相手の動きを読みながらポイントを積み重ねるタイプであるため、スリリングな展開が続く。
このスタイルの違いが試合を大いに面白くする要因となる。ベテルビエフのような圧倒的なパワーを持つ選手が、ビボルのようにテクニカルなディフェンスを得意とするボクサーとどのように戦うのか、注目だ。
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見どころ
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この試合で注目すべきポイントはいくつかある。まず第一に、ベテルビエフのパワーがどれほど通用するかだ。これまで全ての対戦相手をKOしてきたベテルビエフだが、ビボルのようなディフェンスが堅い相手に対しても同じ結果を出せるかは未知数だ。特に、ビボルのフットワークと距離のコントロールがどれほどベテルビエフの強打を防げるかが大きなカギとなる。
一方、ビボルがどのようにしてベテルビエフの攻撃を封じ込めるかも見ものだ。ビボルはこれまで、相手の攻撃を冷静にかわし、ジャブでリズムを作りながら試合を進めるスタイルで多くの勝利を収めてきたが、ベテルビエフのような圧力をかけ続ける選手に対して、この戦略がどこまで通用するかは未知数だ。
試合結果
試合は互いの強みがぶつかり合う展開となった。ビボルは試合序盤から左ジャブを的確に突き、リングをサークルしながら巧みに距離を取った。一方、ベテルビエフは強打を持ち前に前進し、ビボルに対して圧力をかけ続けた。
初回の終了直前、両者が右フックを交換し、試合は一気にヒートアップ。ベテルビエフの強打とビボルのテクニカルなディフェンスが織り交ざる中で、試合は進行していった。3回には、ビボルがカウンターを狙い、ベテルビエフのパンチを巧みにかわす場面が増え、優勢に立つかに見えた。
しかし、試合の中盤、5回から6回にかけて、ベテルビエフが猛反撃。特に5回の終盤には、左フックと右ボディで観客を沸かせた。これに対してビボルも応戦し、両者の一進一退の攻防が続く。
最終的に、ジャッジのスコアカードは1人が114-114のドロー、残り2人が115-113、116-112でベテルビエフに軍配が上がり、2-0の判定勝ちとなった。ベテルビエフはプロキャリアで初めての判定勝利を飾った。
ターニングポイント
この試合のターニングポイントは、8回のベテルビエフの攻勢であった。ビボルが巧みに動いてベテルビエフの攻撃をかわし続けていたものの、この8回でベテルビエフが右強打を何度もヒットさせ、試合の流れを掴んだ。さらに、ビボルの左目尻が腫れ始め、視界に影響が出たことで、ベテルビエフに主導権が移った。
ビボルも9回、10回には持ち直し、右ストレートやコンビネーションで反撃するものの、11回に再びベテルビエフが左右の連打で攻め込み、試合の流れを奪い返す。これが、判定に大きな影響を与えたと考えられる。
ベテルビエフのパンチ力とフィジカルの強さが勝敗を分けた重要なポイントだった。ビボルの巧みなディフェンスも光ったが、ベテルビエフの圧力を受け切るには限界があった。
今後の動向
アルツール・ベテルビエフは、今回の勝利でライトヘビー級の絶対的な王者となった。今後の展開として、ベテルビエフは防衛戦に進むのか、それともスーパーファイトを狙うのかが注目される。特に、以前から噂されているサウル “カネロ” アルバレスとの対戦が再燃する可能性がある。カネロはライトヘビー級に挑戦した過去もあり、この階級での再戦を望む声も多い。
一方で、ディミトリー・ビボルは初黒星を喫したものの、その技術的なファイトスタイルは高く評価され続けている。ビボル自身も試合後に「リマッチはもちろん」と語っており、ベテルビエフとの再戦が実現する可能性も十分にある。
まとめ
この試合はボクシング史に残る名勝負であった。ライトヘビー級での4団体統一という歴史的な一戦は、アルツール・ベテルビエフの圧倒的なフィジカルと強打、そしてディミトリー・ビボルの優れたテクニックが存分に発揮された戦いだった。
結果として、ベテルビエフが判定勝利を収めたが、試合内容は互いに譲らない接戦であった。今後の両者の動向も含め、再戦や他のビッグマッチに期待が高まる。今後のライトヘビー級、さらにはボクシング界全体の展開に注目していきたい。
今回の勝利で、アルツール・ベテルビエフは史上初の4団体統一ライトヘビー級王者となり、その地位を確固たるものとした。この試合は、ボクシングファンにとって長く語り継がれるものとなるだろう。
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