ライトフライ級戦線で存在感を増し続けるボクサーがいる。プエルトリコ出身のレネ・サンティアゴだ。技巧的で運動量豊富なヒット&アウェイを武器とし、2025年、日本のリングでWBO世界王座を奪取したことで一躍注目度が高まった。この記事では、そんなレネ・サンティアゴの人物像、強み、ファイトスタイル、その魅力を徹底的に掘り下げて紹介していく。
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プロフィール
¡PUERTO RICO tiene un nuevo campeón! 🇵🇷
— Top Rank en Español (@trboxeo) March 13, 2025
René ‘Chulo’ Santiago es el monarca minimosca de la WBO tras destronar a Shokichi Iwata en Tokio. #TerajiAkui pic.twitter.com/zSq5G58dR5
| 名前 | レネ・サンティアゴ |
| 生年月日 | 1992年4月10日 |
| デビュー | 2014年11月22日 |
| 出身地 | プエルトリコ |
| 身長 | 160cm |
| リーチ | 159cm |
| タイプ | 右ボクサーファイター |
| 階級 | ライトフライ級 (48.97キロ) |
レネ・サンティアゴ(René Santiago、1992年4月10日生まれ)は、プエルトリコ・ウマカオ出身のライトフライ級プロボクサーである。身長160cm、リーチ159cmと体格は大きくないが、その分、高い運動量とスピードを武器にリングを支配するタイプのファイターだ。スタイルはオーソドックス。プエルトリコのボクシング伝統でもあるテクニカルな距離感と、堅実なヒットの積み重ねを中心とする戦術が特徴である。派手さよりも精密さを重視し、組み立ての巧さで主導権を奪う戦いが持ち味である。
戦績
プロ戦績 18戦14勝(9KO)4敗
世界戦戦績 3戦2勝(1KO)1敗
※高見戦前の戦績
プロとして頭角を現し始めたのはライトフライ級に定着してからである。2024年に暫定王者となり、その後、正規王者ジョナサン・ゴンサレスとの団体内王座統一戦に敗れたものの、わずか1年後には日本のリングで世界王座へ返り咲いた。敗北を糧にし、再び頂点へ戻るその姿こそサンティアゴの魅力であり、彼のしぶとさ、精神力の強さを物語っている。
試合実績
| 戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
| 1 | 2014年11月22日 | 〇 | 4R | 判定 | グスタボ・オルティス | プエルトリコ | プロデビュー戦 |
| 2 | 2015年4月25日 | 〇 | 2R 1:45 | TKO | ルイス・ディアス | プエルトリコ | |
| 3 | 2015年5月31日 | 〇 | 3R 2:59 | TKO | アレクシス・ディアス | プエルトリコ | |
| 4 | 2015年8月22日 | 〇 | 2R 2:27 | TKO | アルベルト・メディナ・マルドナド | プエルトリコ | |
| 5 | 2016年1月30日 | × | 6R | 判定0-3 | ワルデマル・パガン | プエルトリコ | |
| 6 | 2018年7月1日 | 〇 | 1R 2:55 | KO | スターリン・レイジェス・シエラ | ドミニカ共和国 | |
| 7 | 2018年8月25日 | 〇 | 2R 2:27 | TKO | ヘスス・ミゲール・マルティネス・カスティージョ | ドミニカ共和国 | |
| 8 | 2018年12月7日 | × | 6R | 判定0-3 | ヘオバニ・ガルシア・バラガン | メキシコ | |
| 9 | 2019年11月23日 | 〇 | 1R 2:58 | TKO | フアン・ガブリエル・グスマン・ピチャルド | ドミニカ共和国 | |
| 10 | 2020年1月31日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | イスラエル・バスケス | プエルトリコ | WBOラテンアメリカライトフライ級王座決定戦 |
| 11 | 2021年11月7日 | 〇 | 2R 1:07 | TKO | ホセ・カルデロン | ドミニカ共和国 | |
| 12 | 2022年4月8日 | × | 10R | 判定0-3 | ユデル・レイジェス | メキシコ | NABO北米ミニマム級王座決定戦 |
| 13 | 2022年12月16日 | 〇 | 2R 1:30 | 反則 | ヘラルド・サパタ | ニカラグア | WBOラテンアメリカライトフライ級タイトルマッチ |
| 14 | 2023年4月14日 | 〇 | 9R 1:28 | TKO | カルロス・オルテガ | パナマ | WBOラテンアメリカ防衛1 |
| 15 | 2023年10月27日 | 〇 | 12R 1:18 | KO | ケビン・ビバス | ニカラグア | WBO世界ライトフライ級暫定王座決定戦 |
| 16 | 2024年3月2日 | × | 12R | 判定0-3 | ジョナサン・ゴンサレス | プエルトリコ | WBO世界ライトフライ級王座統一戦 WBO暫定陥落 |
| 17 | 2024年10月30日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | リカルド・アストゥビルカ | ペルー | WBOインターナショナルライトフライ級王座決定戦 |
| 18 | 2025年3月13日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | 岩田翔吉(帝拳) | 日本 | WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ |
| 19 | 2025年12月17日 | – | – | – | 高見亨介(帝拳) | 日本 | WBA・WBO世界ライトフライ級王座統一戦 |
2024年3月2日、プエルトリコ・サンフアンでWBO世界ライトフライ級王者ジョナサン・ゴンサレスと団体内王座統一戦を行った。試合はフルラウンドを戦い抜いたが0-3の判定負け。持ち前の粘り強さを発揮しながらも、正規王者との差を埋めきれず、暫定王座は吸収される形で失われた。だがこの敗戦が転機になる。
2025年3月13日、日本・両国国技館の大舞台で指名挑戦者としてWBO王者・岩田翔吉と激突。12回の攻防を制し、3-0の判定勝利を収め、約1年ぶりに世界王座へ返り咲いた。異国の地での王座奪取という快挙は、彼の強さと成長を証明した瞬間であった。
ファイトスタイル・能力

レネ・サンティアゴのファイトスタイルは、ひとことで言えば「運動量とディフェンスを軸にしたヒット&アウェイ術」である。ステップワークを多用し、相手の射程外と射程内を巧みに行き来する。相手の攻撃をかわしつつ、自らのパンチを深追いし過ぎずに当てて離れる。攻守の切り替えが非常に早いのが特徴であり、距離管理の正確さは階級トップクラスといえる。
攻撃の威力は突出しているわけではないが、精度と積み重ねで相手の作戦を崩していくタイプである。細かいパンチでポイントを奪い、手数と確度の両立でラウンドを積み重ねていく。相手は気づけば数字で差をつけられている、そんな戦い方をするのがサンティアゴだ。
オフェンス
サンティアゴの攻撃は、伸びるジャブと高い精度のアッパーカット、フックがカギとなる。とくにジャブは距離の測り方が巧みで、相手の出鼻をくじきながら自分のペースに引き込むための起点となっている。スピーディに繰り出されるアッパーやフックも特徴で、連打ではなく、タイミングの良い単発や二連続のショットでポイントを奪う。
破壊力よりもテクニックを重視するため、相手を豪快に倒すタイプではないが、確実にダメージを蓄積させる攻撃であり、試合後半になるほどその差が表れてくる。組み立てのセンスと判断力が光る選手で、攻撃の質が高い。
ディフェンス
ディフェンスは彼の最大の武器のひとつである。両手ガードの基本を固めつつ、ボディワークとフットワークを連動させる防御的スタイルで被弾を最小限に抑える。後退しながらも視界を切らさず、バックステップを巧みに使い、相手の攻撃を空転させるのが実に上手い。
ただし、止まっている時間帯では細かいパンチを被弾する場面もある。しかし、持ち前の運動量で連続的な被弾を避け、被害を極小化していく。リスクコントロールの巧さこそサンティアゴの真価であり、試合を通して大きく崩れない安定感につながっている。
試合の注目ポイント
ヒット&アウェイの精度
サンティアゴの戦い方は徹底したヒット&アウェイである。相手の動きに合わせて最短距離で踏み込み、ヒットを奪った瞬間に素早く距離をとる。その精度こそが試合の鍵となる。
ジャブによる支配
彼のジャブは距離感とタイミングが優れており、相手の動きを止め、リズムを奪う武器である。このジャブが効果的に機能するとき、サンティアゴはラウンドを支配していく。
ステップワークの巧みさ
運動量の多いステップワークは、防御にも攻撃にも直結する。前後左右へ自在に動きながら、相手のパンチを外しつつチャンスを作る。動き続けることで主導権を握るのが彼のスタイルである。
組み立ての速さと判断力
攻撃と防御の切り替えが速く、状況判断が的確である。特に相手のミスや空振りに対して素早く反応し、ポイントになるパンチを返す場面は必見である。
後半に向けて強まる粘り
試合後半になるほど運動量の差が表れ、サンティアゴが優位に立ちやすい。スタミナと冷静さを失わず、じわじわと差を広げていくのが彼の強さだ。
レネ・サンティアゴは、力強さよりも技巧、運動量、正確性、防御力を武器とするライトフライ級屈指のテクニシャンである。2025年の日本での世界王座奪取によって、その評価はさらに高まりつつある。派手なKOを狙う選手ではないが、細かく刻むヒットと無駄のないステップで試合を支配し、確実に勝ちを手繰り寄せる実力者だ。今後も世界トップレベルの選手たちとの戦いが期待されるだけに、サンティアゴのボクシングは、ますます注目度を高めていくだろう。
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