世界中に名だたる実力者たちがひしめくフェザー級。その中で今、最も注目すべき男がいる。アンジェロ・レオだ。
これまで着実にキャリアを積み重ね、いくつもの試練を乗り越えたレオは、誰もが認める実力者へと成長を遂げた。スピード、テクニック、タフネス、そして何より勝負強さを兼ね備えた総合力の高いファイター。派手なパフォーマンスこそないが、戦うたびに確実に相手を追い詰め、勝利を手繰り寄せるそのスタイルは、まさに本物である。
この記事では、アンジェロ・レオのプロフィールから戦績、これまでの主な試合実績、さらに彼の独自のファイトスタイルまで、徹底的に紹介していく。
プロフィール
Angelo Leo just SHOOK THE WORLD 🔥 pic.twitter.com/CHBRAiivXA
— Top Rank Boxing (@trboxing) August 11, 2024
名前 | アンジェロ・レオ |
生年月日 | 1994年5月15日 |
デビュー | 2012年11月17日 |
出身地 | アメリカ合衆国 |
身長 | 168cm |
リーチ | 174cm |
タイプ | 右ボクサーファイター |
階級 | スーパーバンタム級 (55.34キロ) フェザー級 (57.15キロ) |
実績 | 世界2階級制覇 |
レオのニックネーム「エル・チニート」は、スペイン語で「小さな中国人」を意味する。これは、彼の曾祖父が中国からメキシコに移住した中国系移民だったことに由来している。そのため、顔立ちや雰囲気にもアジア系の血を感じさせる独特な魅力を持っている。
戦績
プロ戦績 26戦25勝(12KO)1敗
世界戦戦績 4戦3勝(2KO)1敗
※2024年8月10日時点
唯一の敗北は、当時無敗だったスティーブン・フルトンに対するもの。その後、負けを引きずることなく圧倒的なパフォーマンスを見せ続け、世界王者へと返り咲いている。
さらに、過去にはWBO世界スーパーバンタム級王者にも輝いており、現在はIBF世界フェザー級チャンピオンとして君臨している。
まさに二階級制覇を達成している生粋のチャンピオンだ。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2012年11月17日 | 〇 | 4R | 判定2-0 | ヘスス・ザヴィア・パチェコ | アメリカ合衆国 | プロデビュー戦 |
2 | 2013年1月19日 | 〇 | 4R | 判定3-0 | フリオ・ゴメス | アメリカ合衆国 | |
3 | 2013年9月6日 | 〇 | 4R | 判定2-0 | ブライアン・ガルシア | アメリカ合衆国 | |
4 | 2014年1月25日 | 〇 | 1R 0:48 | KO | マイケル・ジェイムズ・ヘレーラ | アメリカ合衆国 | |
5 | 2014年5月10日 | 〇 | 3R 0:58 | KO | ジェームズ・ピアー | アメリカ合衆国 | |
6 | 2015年5月9日 | 〇 | 2R 1:14 | TKO | ガブリエル・ブラクストン | アメリカ合衆国 | |
7 | 2015年8月15日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | スティーブン・マッキンタイア | アメリカ合衆国 | |
8 | 2016年3月5日 | 〇 | 4R 2:59 | KO | ヘスス・レイジェス | メキシコ | |
9 | 2016年5月14日 | 〇 | 2R 0:50 | KO | イヴァン・チャベラ・レセンディス | メキシコ | |
10 | 2016年8月13日 | 〇 | 3R 1:47 | KO | ホルへ・ルイス・ファルコン | メキシコ | |
11 | 2017年11月18日 | 〇 | 4R 2:04 | KO | バシリオ・ニエベス | ドミニカ共和国 | |
12 | 2018年1月27日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | ジョナサン・アギュラー | メキシコ | |
13 | 2018年8月3日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | シャロン・カーター | アメリカ合衆国 | |
14 | 2018年10月27日 | 〇 | 1R 1:37 | KO | グレン・ポラス | フィリピン | |
15 | 2018年12月7日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | エリック・ルイス | アメリカ合衆国 | |
16 | 2019年2月9日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | アルバート・トーレス | アメリカ合衆国 | |
17 | 2019年4月5日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ニール・ジョン・タバナオ | フィリピン | |
18 | 2019年6月28日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | マーク・ジョン・ヤップ | フィリピン | |
19 | 2019年12月28日 | 〇 | 11R 1:12 | TKO | セサール・フアレス | メキシコ | NABO北米スーパーバンタム級王座決定戦 |
20 | 2020年8月1日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | トラマイン・ウィリアムズ | アメリカ合衆国 | WBO世界スーパーバンタム級王座決定戦 |
21 | 2021年1月23日 | × | 12R | 判定0-3 | スティーブン・フルトン | アメリカ合衆国 | WBO陥落 |
22 | 2021年6月19日 | 〇 | 10R | 判定2-0 | アーロン・アラメダ | メキシコ | |
23 | 2023年11月1日 | 〇 | 9R 1:59 | TKO | ニコラス・ポランコ | ドミニカ共和国 | |
24 | 2024年1月31日 | 〇 | 3R 2:27 | KO | マイク・プラニア | フィリピン | WBAコンチネンタルアメリカスフェザー級王座決定戦 |
25 | 2024年4月10日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | エドゥアルド・バエス | メキシコ | WBAコンチネンタルアメリカス防衛1 |
26 | 2024年8月10日 | 〇 | 10R 1:16 | KO | ルイス・アルベルト・ロペス | メキシコ | IBF世界フェザー級タイトルマッチ |
27 | 2025年5月24日 | 試合前 | – | – | 亀田和毅(TMK) | 日本 | IBF世界フェザー級タイトルマッチ |
トレメイン・ウィリアムズ(2020年)
この試合でアンジェロ・レオは、初の世界タイトル(WBOスーパーバンタム級)を獲得した。ハイペースで試合を支配し、判定勝利。圧倒的なフットワークと接近戦でのボディ打ちを武器に勝利した。
スティーブン・フルトン(2021年)
惜しくも敗北した試合だが、レベルの高い攻防を繰り広げた。フルトンのテクニックに苦しめられながらも、最後まで手を止めなかったハートの強さは、多くのファンに強烈な印象を残した。
ルイス・アルベルト・ロペス(2024年)
LOOK AT THIS BRUTAL KO BY ANGELO LEO ONE MORE TIME 🤯 pic.twitter.com/aPy9PW697g
— Top Rank Boxing (@trboxing) August 11, 2024
この試合こそがアンジェロ・レオの真価を証明した一戦だ。下馬評ではロペス有利だったが、レオは圧倒的なボディワークと鋭いカウンターでロペスを攻略。強烈な左フックでKO勝利を飾った瞬間は、全世界のボクシングファンを驚かせた。
ファイトスタイル・能力

アンジェロ・レオのファイトスタイルは、一言で言うなら「超基本に忠実な圧力型ファイター」である。無駄な動きが一切なく、常にガードを高く保ち、着実にポイントを重ねながら相手を削っていく。
リーチが長いことを活かしたアウトボクシングもできるが、本人は接近戦を好むタイプだ。
試合展開によって柔軟に戦術を切り替えられるのが、彼の大きな武器である。
さらに特筆すべきはそのタフネスだ。これまで一度もKO負けがなく、どんな強打にも耐える「鉄のアゴ」を持つ。
オフェンス
アンジェロ・レオの攻撃スタイルは、非常に計算されたものだ。
無駄な打ち合いを避け、基本的にはジャブを起点にリズムを作り、相手の動きを見極めながら徐々にプレッシャーをかけていく。
単発のパンチよりもコンビネーションを重視し、特にボディへの連打は彼の代名詞とも言えるだろう。
相手のガードが上がった瞬間を見逃さず、すかさずボディを叩き、そこから顔面へのカウンターにつなげる流れは実にスムーズだ。
また、リードハンドで軽くタッチしながら相手の反応を引き出し、その隙をつくセンスにも長けている。一撃必殺のパンチ力こそ特筆すべきものではないが、確実にダメージを蓄積させる職人のような攻撃スタイルが、試合後半に効いてくる。強引に倒しにいくのではなく、あくまで相手を崩すプロセスを重視する慎重さも、彼の持ち味のひとつだ。
ディフェンス
一方で、防御面においてもアンジェロ・レオは非常に高い完成度を誇っている。
基本はハイガードを保ちつつ、細かなステップワークで距離を微調整し、相手のパンチを外す。ブロッキングとスウェーバックを使い分けるディフェンス技術も卓越しており、打たれ強さに頼るのではなく、まず被弾自体を避ける意識が徹底されている。
特に印象的なのは、相手が連打を仕掛けた際の対応力であり、慌てずにガードを固めたまま角度を変え、打たせてから隙を突く冷静さが際立つ。クリンチも上手く、危険な場面では一旦組みついて流れを断ち切る判断力も持ち合わせている。
つまり、レオの防御は単なる守りではなく、次の攻撃につなげるための“待ちの美学”が体現されているのだ。ミスを最小限に抑えながら、着実に勝機をうかがうそのスタイルは、トップレベルの舞台でも十分通用する堅牢さを備えている。
まとめ
アンジェロ・レオは、スピード、パワー、耐久性、ボクシングIQ、すべての面でバランスが取れたトップファイターだ。今後フェザー級をさらに盛り上げる存在となることは間違いない。
「冷静沈着なファイター」「堅牢なディフェンス」「鋭いカウンター」という武器を持つレオは、これからのボクシング界でますます注目される存在となるだろう。
次なる防衛戦やビッグマッチにもぜひ注目してほしい。ボクシングファンはもちろん、ライト層にもぜひ押さえておいてほしい選手である。
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