世界ボクシング界において、そのキャリアと存在感がいまだ色あせることのないレジェンドといえば、やはり ノニト・ドネアである。軽量級では異例の年齢に到達しながら、なお世界タイトル戦のリングに立ち続けるその姿は、多くのファンに衝撃を与え、同時に強烈なリスペクトを与えている。フィリピンのフラッシュと呼ばれたその破壊力、カウンターの切れ味、そして度重なる階級制覇の実績が語るように、彼はただの元王者ではなく、まさに“時代を超えるファイター”である。本記事では、そんなノニト・ドネアのプロフィールから戦績、ファイトスタイル、さらに彼がリングに上がる際に必ず注目すべきポイントまで、徹底的に掘り下げていく。検索されやすいキーワードを織り込みつつ、迫力ある“だ・である調”でまとめたので、ドネアをより深く知りたい読者に最適の記事となるはずだ。
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プロフィール
Nonito Donaire returns in style! 🇵🇭💥
— WBA Boxing (@WBABoxing) June 15, 2025
The Filipino Flash looked sharp in his comeback, earning a TD win over Andrés Campos after an accidental cut brought the fight to the scorecards in the ninth round. With the victory, Donaire becomes the WBA interim bantamweight champion 👏👏 pic.twitter.com/gRUGwZN9yQ
| 名前 | ノニト・ドネア |
| 生年月日 | 1982年11月16日 |
| デビュー | 2001年2月22日 |
| 出身地 | フィリピン |
| 身長 | 170cm |
| リーチ | 174cm |
| タイプ | 右ボクサーファイター |
| 階級 | フライ級 (50.80キロ) スーパーフライ級 (52.16キロ) バンタム級 (53.52キロ) スーパーバンタム級 (55.34キロ) フェザー級 (57.15キロ) |
| 実績 | 世界5階級制覇 主要2団体統一(Sバンタム級) |
ノニト・ドネアは1982年11月16日生まれ、フィリピン出身のプロボクサーである。通称 “フィリピンのフラッシュ”。その名が示す通り、ドネアの武器は稲妻のように鋭い左フック、そしてリアルタイムで相手の動きを読み切るカウンターの技術だ。幼少期はアマチュアボクシングに取り組み、兄のグレン・ドネアに影響されてプロの世界に入った。身体はスレンダーでありながら筋肉の密度が高く、軽量級らしからぬ重いパンチを持つのが特徴である。数々の逆境を乗り越えつつ世界のトップに君臨してきたそのキャリアは、多くのファンにとって神話的ですらある。
戦績
アマ戦績 76戦 68勝(5KO)8敗
プロ戦績 51戦43勝(28KO)8敗
世界戦戦績 27戦20勝(13KO)7敗
※2025年6月14日時点
ドネアのプロ戦績は8敗を喫している。だがこの敗北のほとんどは世界戦であり、相手はリゴンドー、ウォータース、マグダレノ、フランプトン、そして井上尚弥など、世界トップランカーばかりである。つまり彼の戦績における黒星は“弱さ”を示すものではなく、“常に世界最高峰に挑み続けた証”とも言える。デビュー2戦目にキャリア初黒星を喫したものの、その後一気に頭角を現し、複数階級制覇を成し遂げるなど、軽量級ボクシングの歴史に名を残す特異な軌跡を描いてきた。
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試合実績
| 戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
| 1 | 2001年2月22日 | 〇 | 1R 1:46 | KO | ホセ・ラサロ | アメリカ合衆国 | プロデビュー戦 |
| 2 | 2001年3月10日 | × | 5R | 判定0-3 | ロセンド・サンチェス | アメリカ合衆国 | |
| 3 | 2001年6月8日 | 〇 | 4R | 判定3-0 | サウル・サントーヤ | アメリカ合衆国 | |
| 4 | 2001年7月3日 | 〇 | 1R 0:30 | TKO | ホセ・ルイス・トーレス | メキシコ | |
| 5 | 2002年5月31日 | 〇 | 2R 終了 | TKO | ノエ・アルマ | フィリピン | |
| 6 | 2002年9月1日 | 〇 | 2R | KO | カイチョン・ソー・ウォラピン | タイ | WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦 |
| 7 | 2002年11月2日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | マーク・サレス | フィリピン | |
| 8 | 2003年6月27日 | 〇 | 1R 1:43 | TKO | ホルヘ・ロペス | メキシコ | |
| 9 | 2004年6月18日 | 〇 | 4R 3:00 | TKO | リカルド・バレラ | メキシコ | |
| 10 | 2004年11月12日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | ヒルベルト・ムニョス | メキシコ | |
| 11 | 2005年5月13日 | 〇 | 6R 3:00 | TKO | パウリノ・ビジャロボス | メキシコ | |
| 12 | 2005年7月2日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | ラリー・オルベラ | アメリカ合衆国 | |
| 13 | 2005年10月1日 | 〇 | 1R 2:19 | KO | ダニエル・ゴンサレス | メキシコ | |
| 14 | 2005年11月5日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | イルド・フリオ | コロンビア | |
| 15 | 2006年1月20日 | 〇 | 10R | 判定2-1 | カレン・ハルツニャン | アルメニア | NABF北米スーパーフライ級王座決定戦 |
| 16 | 2006年7月29日 | 〇 | 2R 1:48 | TKO | ホセ・ルイス・カルデナス | メキシコ | |
| 17 | 2006年10月7日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | オスカル・アンドラーデ | メキシコ | |
| 18 | 2007年5月12日 | 〇 | 1R 2:29 | TKO | ケビン・ハギンズ | アメリカ合衆国 | |
| 19 | 2007年7月7日 | 〇 | 5R 1:38 | TKO | ビック・ダルチニアン | オーストラリア | IBF世界フライ級タイトルマッチ IBF・IBO獲得 |
| 20 | 2007年12月1日 | 〇 | 8R 1:16 | TKO | ルイス・マルドナド | メキシコ | IBF防衛1 |
| 21 | 2008年11月1日 | 〇 | 6R 1:31 | TKO | モルティ・ムザラネ | 南アフリカ共和国 | IBF防衛2 |
| 22 | 2009年4月19日 | 〇 | 4R 2:42 | TKO | ラウル・マルチネス | アメリカ合衆国 | IBF防衛3 |
| 23 | 2009年8月15日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ラファエル・コンセプシオン | パナマ | WBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦 |
| 24 | 2010年2月13日 | 〇 | 3R 1:33 | KO | マヌエル・バルガス | メキシコ | |
| 25 | 2010年7月10日 | 〇 | 8R 2:59 | TKO | エルナン・マルケス | メキシコ | WBA暫定防衛1 |
| 26 | 2010年12月4日 | 〇 | 4R 1:48 | KO | ウラジミール・シドレンコ | ウクライナ | WBC米大陸バンタム級王座決定戦 |
| 27 | 2011年2月19日 | 〇 | 2R 2:25 | TKO | フェルナンド・モンティエル | メキシコ | WBC・WBO世界バンタム級タイトルマッチ |
| 28 | 2011年10月22日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | オマール・ナルバエス | アルゼンチン | WBC防衛1・WBO防衛1 |
| 29 | 2012年2月4日 | 〇 | 12R | 判定2-1 | ウィルフレド・バスケス・ジュニア | プエルトリコ | WBO世界スーパーバンタム級王座決定戦 |
| 30 | 2012年7月7日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | ジェフリー・マゼブラ | 南アフリカ共和国 | IBF・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦 IBF獲得・WBO防衛1 |
| 31 | 2012年10月13日 | 〇 | 9R 1:54 | TKO | 西岡利晃(帝拳) | 日本 | WBO防衛2 リングマガジン・WBCダイヤモンド王座獲得 |
| 32 | 2012年12月15日 | 〇 | 3R 2:59 | KO | ホルヘ・アルセ | メキシコ | WBO防衛3 |
| 33 | 2013年4月13日 | × | 12R | 判定0-3 | ギジェルモ・リゴンドウ | キューバ | WBA・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦 WBO陥落 |
| 34 | 2013年11月9日 | 〇 | 9R 2:06 | TKO | ビック・ダルチニアン | オーストラリア | |
| 35 | 2014年5月31日 | 〇 | 5R 0:01 | 負傷判定3-0 | シンピウィ・ベトイェカ | 南アフリカ共和国 | WBAスーパー・世界フェザー級タイトルマッチ |
| 36 | 2014年10月18日 | × | 6R 2:59 | KO | ニコラス・ウォータース | ジャマイカ | WBA世界フェザー級王座統一戦 WBA陥落 |
| 37 | 2015年3月28日 | 〇 | 2R 2:16 | TKO | ウィリアム・プラド | ブラジル | NABF北米スーパーバンタム級王座決定戦 |
| 38 | 2015年7月18日 | 〇 | 2R 1:41 | TKO | アンソニー・セトゥル | フランス | |
| 39 | 2015年12月11日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | セサール・ファレス | メキシコ | WBO世界スーパーバンタム級王座決定戦 |
| 40 | 2016年4月23日 | 〇 | 3R 2:44 | TKO | ゾルト・ベダク | ハンガリー | WBO防衛1 |
| 41 | 2016年11月5日 | × | 12R | 判定0-3 | ヘスス・マグダレノ | アメリカ合衆国 | WBO陥落 |
| 42 | 2017年9月23日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ルーベン・ガルシア・エルナンデス | メキシコ | WBC世界フェザー級シルバー王座決定戦 |
| 43 | 2018年4月21日 | × | 12R | 判定0-3 | カール・フランプトン | イギリス | WBO世界フェザー級暫定王座決定戦 |
| 44 | 2018年11月3日 | 〇 | 4R 終了 | TKO | ライアン・バーネット | イギリス | WBAスーパー・世界バンタム級タイトルマッチ WBA・WBCダイヤモンド王座獲得 / WBSS1回戦 |
| 45 | 2019年4月27日 | 〇 | 6R 2:37 | KO | ステフォン・ヤング | アメリカ合衆国 | WBA防衛1 / WBSS準決勝 |
| 46 | 2019年11月7日 | × | 12R | 判定0-3 | 井上尚弥(大橋) | 日本 | WBA・IBF世界バンタム級王座統一戦 WBA陥落 / WBSS決勝 |
| 47 | 2021年5月29日 | 〇 | 4R 1:52 | KO | ノルディーヌ・ウバーリ | フランス | WBC世界バンタム級タイトルマッチ |
| 48 | 2021年12月11日 | 〇 | 4R 2:59 | KO | レイマート・ガバリョ | フィリピン | WBC世界バンタム級王座統一戦 WBC防衛1 |
| 49 | 2022年6月7日 | × | 2R 1:24 | TKO | 井上尚弥(大橋) | 日本 | WBA・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦 WBC陥落 |
| 50 | 2023年7月29日 | × | 12R | 判定0-3 | アレハンドロ・サンティアゴ | メキシコ | WBC世界バンタム級王座決定戦 |
| 51 | 2025年6月14日 | 〇 | 9R | 負傷判定3-0 | アンドレス・カンポス | チリ | WBA世界バンタム級暫定王座決定戦 |
| 52 | 2025年12月17日 | – | – | – | 堤聖也(角海老宝石) | 日本 | WBA世界バンタム級王座統一戦 |
ドネアのキャリアの中でも最も象徴的なのは、やはり 2007年のビクトル・ダルチニアン戦である。この試合で放たれた左フックは後世まで語り継がれるレベルの完璧なカウンターであり、これが世界に“フィリピンのフラッシュ”の名を知らしめた瞬間であった。その後もフェルナンド・モンティエル戦での衝撃KOなど、伝説的なシーンを数多く生み出した。またスーパーバンタム級やフェザー級でもタイトルを獲得し、階級を上げるたびに“パワーはそのまま”という恐るべき身体能力を証明してみせた。そして近年では井上尚弥との2度にわたる対戦が世界的に話題となり、特に1戦目は“ボクシング史上屈指の名勝負”とも称されている。40代に突入してなお世界戦線に残り続けているという事実が、彼の異質さを物語っている。
ファイトスタイル・能力

ドネアのファイトスタイルは、カウンターを軸にした精密機械のようなボクシングである。相手の踏み込み、ジャブの出し方、体重移動、クセ、視線、足の置き方まで読み取り、その瞬間に合わせて最高の形でパンチを叩き込む。足を止めて殴り合うというよりも、わずかな動きで角度を作り、一発のカウンターで試合を終わらせるタイプだ。若い頃のスピードや俊敏さはさすがに衰えてきているが、それでも “カウンターのタイミング”と“パンチの質”は世界トップクラスのまま である。総合的に見れば、ドネアは攻撃の爆発力、防御の巧妙さ、そして経験の深さが絶妙に混ざり合ったファイターである。
オフェンス
攻撃の中心となるのは言うまでもなく 左フックである。この左フックはただの強打ではなく、角度、軌道、当てる位置、踏み込みの深さなど、すべてが計算されている。特に相手が前に出て来る瞬間を狙い撃つカウンター左フックの精度は世界でも屈指だ。また右ストレートのカウンターも鋭く、相手のジャブに合わせる形で放つ右の一撃はKO必至の破壊力を持つ。さらにボディ攻撃も巧みであり、左フックを顔面に警戒させた上でレバーに深く差し込む打ち分けは芸術的である。加齢でスピードが落ちても、攻撃の“読み”と“タイミング”は磨かれ続けているため、若い選手でも迂闊に飛び込めば試合が終わる危険を常に孕んでいる。
ディフェンス
防御に関してもドネアは独特である。がっちりとしたガードで受けるタイプではなく、微妙な体重移動と後ろ重心のバランスでパンチを外すタイプだ。反射神経だけに頼るのではなく、相手の攻撃の組み立てを先読みして、当たる角度そのものを消すのが上手い。さらに攻撃と防御がセットになっており、「防御→即カウンター」という一連の流れが非常に滑らかであるため、相手は攻撃のたびにリスクを背負わされることになる。年齢的にフットワークは少し落ちたが、そのぶん経験値による“読み”と“間合い管理”でカバーしているのがドネアの恐ろしいところである。
試合の注目ポイント
カウンター技術がどこまで健在か
カウンターの名手であるドネアにとって、勝負の鍵となるのはやはりそのタイミングだ。全盛期に比べスピードは低下しているが、彼のカウンターは反射ではなく“予測”と“誘導”で成り立っているため、大きく衰えることはない。この技術がどこまで発揮されるかが試合の焦点となる。
左フックが炸裂する確率
左フックはドネア最大の必殺技であり、このパンチが試合を決めることは何度も証明されてきた。特に前進してくる相手には劇的に効果を発揮するため、相手のスタイルによっては序盤からKOの可能性が高まる。
経験値による試合運び
世界戦を20戦以上経験しているドネアの試合運びは非常に老獪であり、若い選手はリズムを崩されることが多い。試合の中でギアを上げるタイミング、体力配分、打ち合うポイントの選別など、全てが計算されている。
年齢による衰えとの折り合い
43歳という年齢は軽量級としては異例であり、スタミナや反応速度の低下は避けられない。それを経験と技術でどこまで補完できるかが、ドネアが今も世界戦線で戦える理由でもあり、注目ポイントでもある。
パワーは衰えているのか
多くの専門家が語るように、パンチ力は年齢では落ちにくい。ドネアも例外ではなく、その強打は今も十分に危険である。相手が油断して踏み込んだ瞬間、勝負が決まる可能性は常にある。
まとめ
ノニト・ドネアというボクサーは、単に強いだけではなく、ボクシングという競技の美しさと恐ろしさを体現する存在である。芸術的なカウンター、鋭すぎる左フック、深い経験値に裏打ちされた老獪な試合運び。どれもが一流のまま現在に至っており、いまだ現役で世界王者としてリングに立てる理由がよく分かる。そして彼の試合は常に“何かが起こる”期待感を帯びている。年齢、衰え、若手の台頭。それらをすべて背負いながら、それでもリングに上がり続ける姿はまさにレジェンドそのものである。ノニト・ドネアという男は、これからも世界のボクシングファンを魅了し続けるはずだ。
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