世界ボクシング界で最も注目を集めている階級のひとつがスーパーバンタム級である。その中心に立つのが日本の怪物、井上尚弥であることは間違いない。しかし、その井上の前に立ちはだかる可能性を秘めた男がいる。名をアラン・ピカソ。メキシコシティ出身のこの若きファイターは、無敗記録を維持しながら世界の舞台に迫ってきている。今回の記事ではアラン・ピカソのプロフィール、戦績、試合内容、そしてファイトスタイルに深く切り込んでいく。彼がいかにしてランキング上位に駆け上がり、世界に挑戦しようとしているのか。その全貌を徹底的に明らかにする。
プロフィール
It is being reported that negotiations for Naoya Inoue vs. Alan Picasso for May 4th in Las Vegas have hit a snag and as a result, alternate opponents for Inoue on the same date and venue are being explored. 👀
— Mo Boxing No Problem (@MoBoxingNP) February 26, 2025
Among the alternate opponents, Ramon Cardenas, Murodjon Akhmadaliev,… pic.twitter.com/DRYosvPdbr
名前 | アラン・ピカソ |
生年月日 | 2000年7月22日 |
デビュー | 2017年3月25日 |
出身地 | メキシコ |
身長 | 173cm |
リーチ | 178cm |
タイプ | 右ボクサーファイター |
階級 | スーパーバンタム級 (55.34キロ) フェザー級 (57.15キロ) |
アラン・ピカソは2000年7月22日生まれのメキシコ人プロボクサーである。出身地はボクシングの熱が渦巻く都市、メキシコシティ。
25歳という若さながら、すでにスーパーバンタム級のWBC世界ランキング1位に位置し、次代を担うメキシコのホープとして大きな注目を集めている。身長とリーチはこの階級の中でも恵まれており、過去にはフェザー級契約で試合を重ねてきた経緯もある。そのためスーパーバンタム級では体格的に優位性を発揮できる存在だ。キャリアをスタートさせたのは2017年3月25日。ホセ・アントニオ・アレジャーノ・ロペスを相手にプロデビューを飾り、以降着実に勝ち星を重ねていった。
戦績
プロ戦績 33戦32勝(17KO)無敗1分
世界戦戦績 今回初挑戦
※井上戦前の戦績
アラン・ピカソのプロ戦績は33戦32勝(17KO)1分と圧倒的な成績を誇る。
未だ敗北を経験していないことが彼の大きな強みであり、精神的な自信へと直結している。無敗のファイターというのは、リング上での冷静さや勝負どころでの決断力において大きなアドバンテージを持つ。KO率も5割を超え、力強さと安定感を兼ね備えている。これまで数多くの対戦相手を退けてきたが、特に注目すべきは近年の上位戦線での勝利だ。彼の勝ち方は決して派手一辺倒ではなく、判定まで持ち込んでも冷静に勝ち切る術を知っているところに特徴がある。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2017年3月25日 | 〇 | 4R | 判定2-1 | ホセ・アントニオ・アレジャーノ・ロペス | メキシコ | プロデビュー戦 |
2 | 2017年4月29日 | 〇 | 4R | 判定3-0 | ロヘリオ・アルメンタ | メキシコ | |
3 | 2017年6月10日 | 〇 | 1R 1:27 | TKO | ホセ・ガジャルド | メキシコ | |
4 | 2017年8月12日 | 〇 | 2R 1:48 | KO | オスカル・エスピノサ | メキシコ | |
5 | 2018年3月10日 | △ | 4R | 負傷判定 | マーティン・ヒメネス・デルガド | メキシコ | |
6 | 2018年11月10日 | 〇 | 1R 2:47 | KO | ビクトル・マヌエル・マルティネス・フローレス | メキシコ | |
7 | 2018年12月22日 | 〇 | 4R | 判定3-0 | ヘラルド・ジェスカス | メキシコ | |
8 | 2019年2月9日 | 〇 | 4R | 判定3-0 | ビクトル・トバル | メキシコ | |
9 | 2019年5月18日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | ナウム・セロン・クルス | メキシコ | |
10 | 2019年7月13日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | アンヘル・マルティネス・カスティージョ | メキシコ | |
11 | 2019年9月7日 | 〇 | 2R 1:23 | TKO | カルロス・アルベルト・オカンポ | メキシコ | |
12 | 2019年10月26日 | 〇 | 3R 終了 | TKO | ビクトル・プロア | メキシコ | |
13 | 2019年12月21日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | アンソニー・ヒメネス | メキシコ | WBCインターコンチネンタルスーパーバンタム級ユース王座決定戦 |
14 | 2020年3月14日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ヘスス・キハダ | メキシコ | WBCインターコンチネンタルフェザー級ユース王座決定戦 |
15 | 2020年6月27日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | フロレンティーノ・ペレス・エルナンデス | メキシコ | |
16 | 2021年2月6日 | 〇 | 2R 2:43 | KO | ヘスス・ゴメス・キンタナ | メキシコ | |
17 | 2021年4月10日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | ミゲール・モレノ・ゴンザレス | メキシコ | |
18 | 2021年7月17日 | 〇 | 6R 1:17 | TKO | エディクソン・ペレス | ベネズエラ | |
19 | 2021年9月25日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | アルフレド・メヒア・バルガス | メキシコ | |
20 | 2021年11月18日 | 〇 | 2R 2:10 | KO | ルイス・ミラン | ベネズエラ | |
21 | 2022年1月15日 | 〇 | 6R 終了 | TKO | セサール・イグナシオ・パレデス | ペルー | |
22 | 2022年4月9日 | 〇 | 4R 1:22 | TKO | デビッド・レイジェス・コタ | メキシコ | NABF北米スーパーバンタム級王座決定戦 |
23 | 2022年8月27日 | 〇 | 6R 0:19 | TKO | パブロ・アリエル・ゴメス | アルゼンチン | |
24 | 2022年11月12日 | 〇 | 4R 2:10 | TKO | アレクサンダー・メヒア | ニカラグア | |
25 | 2023年3月4日 | 〇 | 6R 1:26 | TKO | ケビン・ビジャヌエバ | メキシコ | |
26 | 2023年7月15日 | 〇 | 6R 1:20 | TKO | サベロ・ヌゲビニャーナ | 南アフリカ共和国 | WBC世界スーパーバンタム級シルバー王座決定戦 |
27 | 2023年10月6日 | 〇 | 2R 2:20 | TKO | エイソン・バルガス | コロンビア | |
28 | 2024年1月27日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | エリック・ルイス | アメリカ合衆国 | |
29 | 2024年5月4日 | 〇 | 5R 2:11 | TKO | ダミアン・バスケス | アメリカ合衆国 | |
30 | 2024年8月24日 | 〇 | 12R | 判定3-0 | アザト・ホバニシャン | アルメニア | WBCシルバー防衛1 |
31 | 2024年10月5日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | ディエゴ・アルベルト・ルイス | アルゼンチン | |
32 | 2024年12月14日 | 〇 | 3R 1:55 | KO | エイソン・クエジョ | コロンビア | |
33 | 2025年7月19日 | 〇 | 10R | 判定2-0 | 亀田京之介(TMK) | 日本 | |
34 | 2025年12月27日 | – | – | 井上尚弥(大橋) | 日本 | WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ |
2023年7月15日、ピカソはWBCスーパーバンタム級シルバー王座をかけてサベロ・ヌゲビニャーナと対戦した。6回1分20秒TKO勝ちを収め、王座獲得に成功。この勝利によってランキングの地位を確固たるものにした。
2024年8月24日には、アメリカで行われたメイウェザー vs ゴッティの前座試合に登場。元タイトル挑戦者のアザト・ホヴァニシャンを相手に堂々の勝利を飾り、WBCシルバー王座の防衛に成功した。さらに2025年7月19日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われたマリオ・バリオス vs マニー・パッキャオの前座では、亀田京之介と激突。判定2-0で勝利を収め、世界の舞台でもその存在感を示した。判定であっても支配力を発揮し、試合を掌握する姿勢は評価が高い。
ファイトスタイル・能力

アラン・ピカソのファイトスタイルは、サイズの大きさを活かしたアウトボクシングが基本である。スーパーバンタム級においてはフェザー級並みのフィジカルを誇り、リーチを使ったジャブと距離のコントロールに優れている。リング中央を支配しながら相手に自分の距離で戦わせることを得意としており、若さに似合わぬ冷静さを持っているのが特徴だ。加えてメキシコ人ボクサー特有の打ち合いを恐れない気質もあり、堅実さと爆発力を併せ持つ存在だ。
オフェンス
攻撃面では長いジャブとコンビネーションの精度が武器である。距離を測るジャブから素早くワンツーへつなげ、相手の出足を止めることができる。KOの多くはラッシュや大振りからではなく、積み重ねたダメージで相手を追い込んだ結果として生まれている。ここに彼の戦術眼の高さが表れている。相手を冷静に見極めながら、ボディブローと顔面への打ち分けを巧みに行い、試合全体をコントロールする能力がある。
ディフェンス
防御面では距離感とフットワークの巧さが光る。相手の攻撃をブロックするだけでなく、前後左右の動きでパンチを空転させ、反撃につなげる。ディフェンス偏重ではなく、あくまで攻撃へとつなげる布石としての防御であり、攻守のバランスが取れている。メキシカンボクサーにありがちな打たれ強さに頼るスタイルとは一線を画している点も注目だ。
試合の注目ポイント
サイズの優位性
ピカソはスーパーバンタム級の中でもフェザー級寄りの体格を誇る。身長とリーチの長さは対戦相手にとって大きな脅威であり、アウトボクシングにおいて絶対的な強みとなる。
無敗のメンタリティ
プロ33戦無敗という戦績は、相手にとっても大きな心理的プレッシャーとなる。負けを知らない強者が持つ自信は、リング上での動きの安定感に直結している。
スタミナと持久力
試合を通して安定したペースを維持できるのも彼の強みだ。判定に持ち込んでもスタミナ切れを見せないため、相手は最後まで気を抜けない。
戦術の幅
単純な打ち合いだけではなく、試合運びの多彩さを持つ。アウトボクシング、接近戦、ラッシュと状況に応じて切り替えられる柔軟さが試合の見どころである。
精神力
世界の大舞台でも動じない冷静さは、若さを感じさせない。どんな局面でも試合を掌握する冷徹さがピカソの魅力の一つである。
まとめ
アラン・ピカソはメキシコの伝統を受け継ぎながらも、現代的なボクシングスタイルを体現するファイターである。
無敗の戦績、恵まれた体格、冷静な戦術眼。そのすべてが揃っているからこそ、WBC世界ランキング1位に位置することができている。対井上尚弥戦が実現するかどうかは未だ未知数だが、ピカソという存在はスーパーバンタム級戦線において確実に要注目のファイターである。
井上尚弥という絶対王者に挑むことになれば、結果がどうあれ世界中のボクシングファンにとって見逃せない一戦となるだろう。ピカソはただの挑戦者ではない。未来を担う可能性を秘めた無敗の男である。
本記事は、以上になります。本サイトでは、他にも格闘技に関する記事をたくさんアップしています。少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ他の記事もご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。