ボクシング界は常にドラマと衝撃に満ちている。階級を超えて挑戦する選手、メキシカンファイター特有の魂を燃やした攻防、そして未来の統一戦へとつながる大一番。そんななか、今注目を集めているのがIBF世界スーパーフライ級王者ウィリバルド・ガルシアである。派手な経歴ではないが、キャリアの積み重ねと地道な努力で世界王者の地位を手にした叩き上げのメキシカン。ここでは彼のプロフィールから戦績、ファイトスタイル、そして今後の注目ポイントについて徹底的に掘り下げていく。
プロフィール
El ring será testigo de un duelo sin tregua.🥊
— TelevisaUnivision Prensa (@TUPrensa) May 24, 2025
Willibaldo García vs. René Calixto, esta noche a las 10:00 p.m. por @MiCanal5. ¡Una batalla que definirá todo! 🔥#BoxTelevisa #TUPrensa @TUDNMEX pic.twitter.com/LHMR6a40Zg
名前 | ウィリバルド・ガルシア・ペレス |
生年月日 | 1989年12月24日 |
デビュー | 2017年10月14日 |
出身地 | メキシコ |
身長 | 163cm |
リーチ | ?cm |
タイプ | 右ファイター |
階級 | スーパーフライ級 (52.16キロ) バンタム級 (53.52キロ) |
ウィリバルド・ガルシアは1989年12月24日生まれ、メキシコ・コパラ出身のプロボクサーである。
現在はIBF世界スーパーフライ級王者として君臨し、ラテンアメリカ特有のタフネスと前進するスタイルで注目を集めている。デビューは2017年10月14日、バハ・カリフォルニア州サン・フェリペで行われた試合で、2回TKO勝ちという鮮烈なスタートを切った。年齢的にはベテランの域に入っているが、むしろそこにメキシコのボクサーらしいしぶとさと熟練の技が見えてくる。ガルシアは一度大きな敗戦を喫しても再び這い上がる精神力を持っており、その背景にあるのは徹底した練習と打たれ強さに支えられた肉体だ。
戦績
プロ戦績 31戦23勝(13KO)6敗2分
世界戦績 2戦1勝1分
※寺地戦前の戦績
ガルシアのプロ戦績は31戦23勝(13KO)6敗2分である。数字だけを見れば華やかではない。だが重要なのは負けの内容だ。
キャリア序盤の4回戦、6回戦時代に喫した黒星は経験不足による部分が大きく、真価を発揮する前のものである。残りの敗北はアレハンドロ・サンティアゴやポール・バトラーといった世界王者経験者との試合によるものであり、格下相手に崩れるようなタイプではない。むしろ上位選手との対戦経験を糧にして力を伸ばしてきたボクサーであることが分かる。現在はIBF王座を保持し、堂々と世界のトップランカーたちと肩を並べている。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2017年10月14日 | 〇 | 2R 2:14 | TKO | アレハンドロ・セペダ・クエバス | メキシコ | プロデビュー戦 |
2 | 2018年2月8日 | × | 4R | 判定0-2 | エステバン・カマチョ・バロ | メキシコ | |
3 | 2018年3月10日 | × | 4R | 判定0-3 | ラファエル・アレクサンダー・デルガド | メキシコ | |
4 | 2018年4月7日 | - | 3R 1:52 | NC | ヘスス・ジョバニ・アンドレード・サンチェス | メキシコ | |
5 | 2018年6月9日 | × | 6R | 判定0-3 | デウェイン・ビーモン | アメリカ合衆国 | |
6 | 2018年6月23日 | × | 4R | 判定0-2 | ラファエル・マルサン | アメリカ合衆国 | |
7 | 2018年8月10日 | 〇 | 4R | 判定2-1 | ルイス・バルデス・ペーニャ | メキシコ | |
8 | 2018年10月20日 | △ | 6R | 判定1-1 | ミサエル・グラシア・アセベド | メキシコ | |
9 | 2018年11月17日 | 〇 | 4R | 判定2-0 | ホセ・ラミレス・マシエル | メキシコ | |
10 | 2018年12月22日 | 〇 | 4R 0:51 | TKO | カウトリ・ゲレーロ | メキシコ | |
11 | 2019年2月9日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | ヘスス・エンリケ・アレナス・オスナ | メキシコ | |
12 | 2019年4月5日 | 〇 | 6R | 判定2-0 | フランシスコ・メンディビル・ペレス | メキシコ | |
13 | 2019年6月1日 | 〇 | 1R 2:42 | TKO | クリスチャン・ケサダ・ガルシア | メキシコ | |
14 | 2019年9月7日 | 〇 | 1R 1:06 | KO | エリアス・アギラー・コントレラス | メキシコ | |
15 | 2019年10月4日 | 〇 | 2R 1:58 | TKO | アルベルト・アスカニオ | メキシコ | |
16 | 2020年2月1日 | 〇 | 10R | 判定3-0 | デウェイン・ビーモン | アメリカ合衆国 | |
17 | 2020年9月21日 | × | 10R | 判定0-2 | アレハンドロ・サンティアゴ | メキシコ | WBCインターナショナルバンタム級タイトルマッチ |
18 | 2020年12月17日 | 〇 | 9R 0:52 | TKO | ラウル・エスケル | メキシコ | |
19 | 2021年2月6日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | オスカー・ネリ・プラタ | メキシコ | |
20 | 2021年6月25日 | × | 10R | 判定1-2 | ポール・バトラー | イギリス | WBOインターナショナルバンタム級王座決定戦 |
21 | 2021年9月25日 | 〇 | 2R 0:30 | KO | ホセ・ビジェガス・ソモサ | メキシコ | |
22 | 2021年11月13日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | ホセ・ヌニェス・ロペス | メキシコ | |
23 | 2021年12月22日 | 〇 | 2R 1:17 | KO | パトリシオ・カマチョ・バルデス | メキシコ | |
24 | 2022年5月14日 | 〇 | 6R | 判定3-0 | ヘスス・フィエロ・ベルデュゴ | メキシコ | |
25 | 2022年8月10日 | 〇 | 4R 終了 | TKO | エクトル・ルイス・ソト | メキシコ | |
26 | 2022年10月21日 | 〇 | 3R 1:52 | KO | クリスチャン・エンリケス・イバラ | メキシコ | |
27 | 2022年12月14日 | 〇 | 7R 1:16 | TKO | ビクトル・メンデス | メキシコ | |
28 | 2023年4月22日 | 〇 | 8R | TKO | マルロン・リオス・サリナナ | メキシコ | IBFラテンアメリカスーパーフライ級タイトルマッチ |
29 | 2024年2月9日 | 〇 | 8R | 判定3-0 | リーゴ・アマール・マルティネス・エルナンデス | メキシコ | |
30 | 2024年6月22日 | 〇 | 1R 2:41 | TKO | カルロス・バウティスタ・サンチェス | メキシコ | |
31 | 2024年12月21日 | △ | 12R | 判定1-1 | レネ・カリスト | メキシコ | IBF世界スーパーフライ級王座決定戦 |
32 | 2025年5月23日 | 〇 | 12R | 判定2-1 | レネ・カリスト | メキシコ | IBF世界スーパーフライ級王座決定戦 |
33 | 2025年12月27日 | – | – | – | 寺地拳四朗(BMB) | 日本 | IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ |
2020年9月、ガルシアはWBCインターナショナルバンタム級王者アレハンドロ・サンティアゴに挑戦したが、判定負けを喫して王座獲得に失敗した。しかしこの敗戦こそが後の成長につながった。2023年4月にはマーロン・リオスを相手にIBFラテンアメリカスーパーフライ級王座を獲得。続く2024年12月には日本・静岡でレネ・カリストと対戦し、引き分けで王座を逃すものの世界戦経験を積んだ。そして2025年5月、メキシコ・サカテカスでの再戦においてレネ・カリストに判定勝ちし、ついにIBF世界スーパーフライ級王座を戴冠した。この試合は僅差での判定勝利だったが、最後までスタミナを切らさず攻め続けたガルシアの粘り強さが際立った瞬間であった。
ファイトスタイル・能力

ガルシアのファイトスタイルは典型的なメキシカンファイターそのものである。前進し続け、手数を出し、相手を削る。華麗なステップワークや派手なディフェンスよりも、体力と根性で相手を圧倒するスタイルだ。バンタム級を主戦場としていた経験があり、スーパーフライ級でも規格外のフィジカルを誇る。リーチやスピードでは際立たないものの、近距離戦でのパンチ交換を得意とし、打ち合いになればなるほど力を発揮する。序盤から圧をかけ続ける戦い方は、相手のスタミナを消耗させ、終盤で逆転するチャンスを生み出す。
オフェンス
攻撃面では手数と連打が最大の武器である。ワンツーからの左右フック、さらにボディへの連打を絡めることで相手の動きを止める。特にボディショットはガルシアの代名詞とも言えるほどで、メキシコのファイターらしく下への攻撃を執拗に繰り返す。これによって対戦相手は中盤以降に足が止まり、ガルシアがペースを奪う展開が多い。KO率はそこまで高くはないが、ダメージを蓄積させていくスタイルはじわじわと効いてくる。爆発的な一撃よりも、積み重ねによる破壊力を持つ選手である。
ディフェンス
防御面に関しては決して鉄壁ではない。打たれ強さがあるため被弾を恐れず前に出るが、その分クリーンヒットを許す場面も少なくない。とはいえ、それをカバーするのが強靭な顎とフィジカルである。過去の敗戦でも倒されて崩壊する試合は少なく、むしろ判定まで戦い抜くことが多い。ディフェンス技術でかわすタイプではなく、ガードを固めて受け止め、すぐに打ち返すカウンター気味の反撃が特徴だ。リスクを背負いながらも前に出る姿勢が、観客を熱狂させる最大の要素である。
試合の注目ポイント
フィジカルの強さ
ガルシアはバンタム級経験者として、スーパーフライ級でも規格外のパワーを持っている。相手にとっては同じ階級の選手とは思えないほどのプレッシャーを感じるだろう。
手数の多さ
彼の武器は間断なく続く連打だ。ペースを握られると息をつく暇もなく攻め込まれるため、相手は防戦一方に追い込まれる。
ボディへの攻撃
ガルシアの代名詞はボディブローである。下を削られることで相手は後半に動けなくなり、試合の主導権を奪われる危険性が高い。
打たれ強さ
多少の被弾ではびくともしない頑丈さがある。これがあるからこそリスクを背負った前進が可能であり、勝負強さにつながっている。
終盤での粘り
スタミナが豊富で、ラウンド後半でも攻め続ける力がある。接戦の試合を僅差で拾えるのは、この持久力のおかげである。
まとめ
ウィリバルド・ガルシアは決して天才型のチャンピオンではない。むしろ敗戦を経験し、地道に勝利を積み上げてきた叩き上げのファイターである。メキシコ特有の闘争心、手数の多さ、ボディ攻撃、そして頑丈な肉体。どれを取っても派手さはないが、相手にとっては最も嫌なタイプの王者である。
現在のIBF世界スーパーフライ級王者として、これから待ち受けるのはジェシー・“バム”・ロドリゲスやフェルナンド・マルティネスといった超一流との統一戦だ。さらに日本のリングでは寺地拳四朗との対戦も決定しており、世界のファンが注目する存在となっている。ボクシングの真髄は「倒されても立ち上がること」にある。ガルシアはまさにその象徴だ。敗北を経験し、そこから這い上がって王者となった彼の姿は、多くのファンを魅了してやまない。これからもリングでどんな戦いを見せてくれるのか、期待は高まる一方である。
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