ボクシングの世界は常に進化を続け、世界中のファンを魅了し続けている。その中でも、近年大きな注目を集めているのがイギリス・リヴァプール出身のサウスポーファイター、ジェームス・ディケンズである。彼は現在、WBA世界スーパーフェザー級暫定王者としてリングに君臨し、数々の強豪を打ち破りながらキャリアを積み重ねてきた。2022年にプロデビューしたばかりの若い日本人ファイター、堤駿斗が挑む相手としても話題を集めており、ボクシングファンならば見逃せない存在である。ここでは、そのディケンズのプロフィールから戦績、ファイトスタイル、そして試合の注目ポイントに至るまで徹底的に紹介していく。
プロフィール
International Matchups Boxing
— Debbie Mills (@Debtipster) July 2, 2025
BACHKOV, HOVHANNES vs NDONGENI, XOLISANI
02/07 – 16:00
BACHKOV, HOVHANNES wins
BATYRGAZIEV, ALBERT vs DICKENS, JAMES
02/07 – 17:00
DICKENS, JAMES wins pic.twitter.com/SgaOfYTrET
名前 | ジェームス・ディケンズ |
生年月日 | 1991年4月12日 |
デビュー | 2011年1月22日 |
出身地 | イギリス |
身長 | 165cm |
リーチ | 160cm |
タイプ | 左ボクサーファイター |
階級 | スーパーフェザー級 (58.97キロ) |
ジェームス・ディケンズは1991年4月12日にイギリスのリヴァプールで生まれた。幼少期からボクシングに魅了され、地元ジムで磨き上げられた才能はやがてプロの世界に羽ばたくこととなる。2011年にプロデビューを果たし、以来10年以上にわたるキャリアを積み上げてきた。年齢は34歳になり、ボクシング人生において脂の乗り切った円熟期を迎えている。サウスポーという特異な構えから繰り出されるパンチと、経験豊富な試合運びによって、現在では世界的に評価される存在となっている。
戦績
プロ戦績 41戦36勝(15KO)5敗
世界戦戦績 3戦1勝(1KO)2敗
※堤戦前の戦績
ディケンズの戦績は41戦36勝(15KO)5敗である。数字だけを見ても、その勝率の高さは明らかである。特に注目すべきは敗戦の中においても強豪との対戦経験が多い点であり、敗北から学び次に活かしてきたことが現在の地位を支えている。KO率は約40%で、豪快な一撃で仕留めるタイプではないが、的確にポイントを積み重ねながら相手を削り取っていく堅実なスタイルが特徴である。
試合実績
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
1 | 2011年1月22日 | 〇 | 4R | 判定 | パベレス・センコフス | ラトビア | プロデビュー戦 |
2 | 2011年3月26日 | 〇 | 1R 1:23 | TKO | サリ・ムスタフォフ | ブルガリア | |
3 | 2011年5月20日 | 〇 | 4R | 判定 | ストヤン・セルべソフ | ブルガリア | |
4 | 2011年7月30日 | 〇 | 4R | 判定 | チュック・ジョーンズ | イギリス | |
5 | 2011年9月30日 | 〇 | 4R | 判定 | クリス・ライリー | イギリス | |
6 | 2011年11月12日 | 〇 | 2R 終了 | TKO | ジェームズ・アンクリフ | イギリス | |
7 | 2011年12月16日 | 〇 | 4R | 判定 | ドギー・カラン | イギリス | |
8 | 2012年2月4日 | 〇 | 6R | 判定 | バリントン・ブラウン | イギリス | |
9 | 2012年3月10日 | 〇 | 3R 1:28 | TKO | ジャニス・パクシンズ | ラトビア | |
10 | 2012年4月21日 | 〇 | 4R 0:54 | TKO | ユリー・ボロニン | ウクライナ | |
11 | 2012年7月29日 | 〇 | 6R | 判定 | クリスチャン・ライト | イギリス | |
12 | 2012年10月5日 | 〇 | 6R 2:36 | TKO | マイケル・イサック・カレーロ | ニカラグア | |
13 | 2012年11月24日 | 〇 | 8R | 判定 | フランクリン・バレラ | ベネズエラ | |
14 | 2013年3月30日 | 〇 | 10R | 判定 3-0 | ジョン・フェルナンデス | イギリス | BBBofCイングランドスーパーバンタム級王座決定戦 |
15 | 2013年5月24日 | 〇 | 10R | 判定 | ダイ・デービス | イギリス | |
16 | 2013年7月6日 | 〇 | 4R | 判定 | レイナルド・カジナ | ニカラグア | |
17 | 2013年9月14日 | × | 10R 1:34 | TKO | キッド・ガラハド | イギリス | BBBofC英国スーパーバンタム級王座決定戦 |
18 | 2014年3月8日 | 〇 | 6R | 判定 | クシシュトフ・ロゴスキー | ポーランド | |
19 | 2014年10月25日 | 〇 | 2R 2:00 | TKO | ジョルジ・ガチェチラゼ | ジョージア | |
20 | 2015年3月6日 | 〇 | 12R | 判定 3-0 | ジョシュ・ウェール | イギリス | BBBofC英国スーパーバンタム級王座決定戦 |
21 | 2015年7月25日 | 〇 | 6R | 判定 | アーノルド・ソラノ | ニカラグア | |
22 | 2015年11月20日 | 〇 | 12R | 判定 | マーティン・ウォード | イギリス | BBBofC英国防衛1 |
23 | 2016年3月12日 | 〇 | 6R 終了 | TKO | レイナルド・カジナ | ニカラグア | |
24 | 2016年7月16日 | × | 2R 終了 | TKO | ギレルモ・リゴンドー | キューバ | WBAスーパー・世界スーパーバンタム級タイトルマッチ |
25 | 2017年5月13日 | × | 9R 1:12 | 負傷判定 0-3 | トーマス・パトリック・ウォード | イギリス | BBBofC英国スーパーバンタム級タイトルマッチ |
26 | 2018年3月2日 | 〇 | 5R | TKO | バルニイ・アルゲジェス | パナマ | |
27 | 2018年7月27日 | 〇 | 1R 2:28 | KO | パブロ・ナルバエス | ニカラグア | |
28 | 2018年11月9日 | 〇 | 1R 2:47 | TKO | ミゲル・エンカルナシオン | ドミニカ共和国 | |
29 | 2019年4月19日 | 〇 | 5R 0:28 | TKO | ナシブ・ラマドハニ | タンザニア | |
30 | 2019年7月12日 | 〇 | 10R | 判定 3-0 | ナサニエル・メイ | オーストラリア | IBF欧州フェザー級王座決定戦 |
31 | 2019年10月4日 | 〇 | 10R | 判定 3-0 | カルロス・ラモス | スペイン | IBF欧州防衛1 |
32 | 2020年2月21日 | 〇 | 10R | 判定 2-0 | リー・ウッド | イギリス | WBO欧州フェザー級タイトルマッチ |
33 | 2020年12月2日 | 〇 | 10R | 判定 3-0 | ライアン・ウォルシュ | イギリス | WBO欧州防衛1 |
34 | 2021年8月7日 | × | 11R 終了 | TKO | キッド・ガラハド | イギリス | IBF世界フェザー級王座決定戦 |
35 | 2022年4月22日 | 〇 | 5R 2:52 | KO | アンドニ・ガゴ | スペイン | |
36 | 2022年10月15日 | 〇 | 12R | 判定 3-0 | レラト・ドラミニ | 南アフリカ共和国 | IBO世界フェザー級王座決定戦 |
37 | 2023年7月22日 | × | 10R | KO | アンドレス・ソーサ | アルゼンチン | IBO陥落 |
38 | 2024年6月29日 | 〇 | 6R 1:27 | TKO | ハイロ・フェルナンド・デュラン | ホンジュラス | |
39 | 2024年9月6日 | 〇 | 7R 0:19 | TKO | エドゥアルド・マンシト | フィリピン | |
40 | 2025年2月15日 | 〇 | 10R | 判定 3-0 | ゼルファ・バレット | イギリス | WBAインターナショナルスーパーフェザー級王座決定戦 |
41 | 2025年7月2日 | 〇 | 4R 2:26 | KO | アルベルト・バティルガジエフ | ロシア | WBA暫定・世界スーパーフェザー級タイトルマッチ |
42 | 2025年12月27日 | – | – | – | 堤駿斗 (志成) | 日本 | WBA暫定・世界スーパーフェザー級タイトルマッチ |
ディケンズのキャリアを語る上で外せないのがアルベルト・バディルガジェフ戦である。東京オリンピック金メダリストであり、当時無敗だったバディルガジェフを破ってWBA世界スーパーフェザー級暫定王座を獲得した試合は、世界中のボクシングファンを驚かせた。さらに、その前には実力者ゼルファ・バレットにも勝利しており、勢いを増して王者の地位にたどり着いた。また過去には、伝説的な名ボクサーギレルモ・リゴンドーとの対戦経験も持つ。リゴンドー戦では敗れたが、この敗戦から得た経験は大きく、その後の成長に確実につながっている。
ファイトスタイル・能力

ディケンズのファイトスタイルは技巧派サウスポーに分類される。華麗なフットワークを駆使し、リズムを変化させながら相手に的を絞らせない。単に足を使うだけでなく、前進してプレッシャーをかける場面も多く、状況に応じてスタイルを切り替えられる柔軟さがある。ベテランらしい試合巧者ぶりを見せ、相手の強みを削ぐ戦い方に長けている。
オフェンス
攻撃面におけるディケンズの最大の武器は左ストレートである。サウスポー特有の角度から繰り出される直線的な一撃は相手の視界に入りにくく、クリーンヒットすれば大きなダメージを与える。また、連打を重ねるよりも的確なワンツーでポイントを重ねるスタイルを得意とする。近距離ではボディショットを打ち込み、相手のスタミナを奪って後半戦で優位に立つ戦術をよく使う。
ディフェンス
防御面では経験値の高さが光る。パンチを完全に避けるのではなく、肩や腕で受け流すことで被弾を最小限に抑えるディフェンスを展開する。頭の位置を細かく変え、的を絞らせない工夫をしながら試合を進めるのが特徴である。さらに、クリンチを織り交ぜながら試合の流れをコントロールする巧さも持ち合わせており、これが「老獪さ」と表現される部分である。
試合の注目ポイント
ベテランならではの試合運び
ディケンズは10年以上のキャリアを持ち、強豪との対戦経験が豊富である。若い選手との対戦では、この経験値が勝敗を分ける要素となる。
サウスポーの利点を最大化
独特の角度から放たれるパンチは対戦相手にとって非常にやりにくい。特に左ストレートの精度は注目に値する。
フィジカルの強さ
厚みのある体格と強靭なフィジカルを誇り、接近戦でも相手を押し返す力がある。スタミナも豊富で、長丁場の試合でもパフォーマンスを維持する。
バランスの取れた攻防
攻撃だけでなく防御も安定しており、隙を見せない。攻防一体の戦い方は若い選手にとって突破が難しい壁となる。
相手を崩す心理戦
単に技術や体力で戦うだけでなく、心理的な駆け引きにも優れている。相手に自分のペースを押し付ける能力はトップファイターの証である。
まとめ
ジェームス・ディケンズは、WBA世界スーパーフェザー級暫定王者という肩書にふさわしい実力を備えたボクサーである。41戦のキャリアで培った経験、サウスポーの技巧、そして老獪な試合運び。どれをとっても一流であり、彼の存在はスーパーフェザー級戦線において無視できない。これからの試合では、若手ファイターの挑戦を受けながらも、その経験と実力で世界の舞台をさらに盛り上げていくだろう。ボクシングファンにとって、彼の一挙手一投足から目を離すことはできない。
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